2016年8月にカバーアルバム『1936 〜your songs〜』をリリースし、テレビド
ラマやバラエティ番組等でも活躍中のミュージカル俳優・山崎育三郎が、1月
15日に豊洲PITで一夜限りのコンサート「山﨑育三郎 コンサート 〜1936 your
songs〜」を開催した。
ステージは、アルバム『1936 〜your songs〜』収録のJ-POPナンバーや、山崎
の思い入れのあるミュージカル作品「レ・ミゼラブル」「モーツァルト!」「
ミス・サイゴン」「エリザベート」の楽曲などを織り交ぜ、現在の日本のミュ
ージカルシーンを支えるその圧倒的な歌唱力と、表現豊かなパフォーマンスで
会場を魅了した。途中のMCで山崎は「ミュージカル俳優最強!」説を唱えた
が、まさにその論説を裏付けるパワフルかつ華麗なステージを見せた。
フロアが暗転すると、それまでのざわめきがピタリと止まった。青い光に包ま
れたステージにバンドメンバーが登場し定位置につく頃、真っ赤なロングジャ
ケット姿の山崎がステージに登場。センターにスッと立つと、「青春の影」の
イントロをア・カペラで歌い始めた。まっすぐに伸びる歌を、息を飲むように
して聴き入る観客。初っぱなからその歌声に圧倒された形だ。続く「君は薔薇
より美しい」ではミュージカル仲間の石原絵理、奥山寛、樺島麻美、高橋卓爾
の4人がダンサーとして登場し、山崎が振付けしたダンスを一緒にパフォーマ
ンス。総立ちの会場を盛り上げた。さらに「もっともっと!」と煽ったのは「
愛は勝つ」。往年の名曲に合わせて、山崎のイメージカラーである赤いペンラ
イトが大きく揺れていた。
次のブロックは数々のミュージカル作品に出演した山崎が、一番思い入れのあ
るという4作品の中から、「レ・ミゼラブル」の「カフェソング」、「モーツ
ァルト!」の「僕こそ音楽」「影を逃がれて」、「ミス・サイゴン」の「WHY
GOD,WHY?」、「エリザベート」の「最後のダンス」「ミルク」を、簡単なシ
ーンの解説を挟みながら披露。それぞれのシーンが目の前に浮かび上がってく
るような、情感豊かな歌声に酔いしれた。
大作すぎるミュージカルナンバーを続けて歌い、「疲れた」と笑いながらも、
自身初となるチャレンジに果敢に挑む山崎。「以前からピアノを弾きます、と
言ってましたので」と、ピアノ一本、山崎の弾き語りで尾崎豊の名バラード
「Forget-me- not」を熱唱。有言実行、素晴らしい演奏を聴かせた山崎に賞賛の
拍手が送られる。さらにバンドと一緒にピアノを鳴らした「奏(かなで)」、ス
テージが桜色に染まった「桜坂」と、オリジナルアレンジで歌い上げ、大ヒッ
バンドセッションの後、白いジャケットに衣装チェンジしてステージに戻って
きた山崎が「A Whole New World」「君はともだち」「under the sea」とディ
ズニー映画でお馴染みのナンバーを次々繰り出すと、会場のテンションもさら
にアップ。あたたかい空気の中、ダンスやコーラスを務めてくれたミュージカ
ル仲間4人との共演話に花が咲く。ここで出たのが「ミュージカル俳優は最強
なんじゃないか」説。「歌って踊れて演技ができて、野球もできて…」と自分
の話にもっていって笑いをとっていたが、ここまでのパフォーマンスを見て、
この説を否定する者は誰もいないだろう。「エンターテインメントの中の王様
だ」という言葉にも納得だ。そして5人はさらに最強のパフォーマンスを見せ
る。「アメリカに留学していた時に、友達の車でいつも聴いていた曲を4人と
僕の5人でア・カペラで歌いたいと思います」。その思い出の曲はビリー・ジ
ョエルの「The Longest Time」。山崎のメインヴォーカルと4人のコーラスで、
美しいハーモニーを聴かせた。
ステージはラストに向けてさらに熱を帯びていく。軽快に「女々しくて」を歌
った後、CDには未収録のカバーナンバー「男の子女の子」では、サイン入り
のボールをフロアに投げ入れ、自慢の肩を見せる。「まだまだ終わりません
!」とラストは「TOKIO」で華やかに本編を締め括った。
山崎がステージを降りた後も観客は総立ちのまま、“イックン”コールを続ける。
その声に応え再び登場すると、「本当に今日が楽しみでした。今後もこうい
うコンサートを絶対にやっていきたいので、CDもいろいろ計画しているので、
楽しみにしていてください」と今後の展望を語った。そして「ずっと応援し
てくださっているファンの皆様との絆の曲です」と、ピアノ伴奏を山崎の声だ
けで中島みゆきの「糸」を思いを込めて熱唱。最後にもう一曲、と出演者全員
をステージに呼び込み、昨年の「第58回 輝く!日本レコード大賞」で企画賞を
受賞した時にも披露した「君は薔薇より美しい」を再び披露し、大盛況の中、
約2時間のステージは終了した。
最後に山崎は「今年は去年以上に育三郎イヤーになるんじゃないかと思います」
と語った。ドラマやミュージカルでの活躍はもちろん、彼にしかできないパ
フォーマンスと唯一無二な歌声を、コンサートという形で再び披露してくれる
ことを期待したい。
◆リリース情報
カヴァーアルバム「1936 ~your songs~」
○初回限定盤 UPCH-7176 ・CD11曲+DVD 「君は薔薇より美しい」MV+メイキング
税抜¥3,500
○通常盤 UPCH-2092 ・CD11曲
税抜¥3,000
収録曲
1:青春の影
2:君は薔薇より美しい
3:TOKIO
4:Forget-me- not
5:愛燦燦
6:愛は勝つ
7:糸
8:桜坂
9:奏(かなで)
10:女々しくて
11:僕こそ音楽 <ミュージカル「モーツァルト!」より> ※ボーナストラック
カメラマンクレジット:矢部志保