Yeti 次なるステップへの旅立ちを告げたライブ。「未来への扉を開けます」

ライブ終盤、「home」の演奏を前に、涼木 聡は会場を包みこむように優しく語りかけた。

「この4人がステージに居て、今日来てくれたみんなが居てくれたら、それはきっと、これからも変わることなくYetiです。もっと頑張れば、明るい未来の扉を開けられるって僕は信じてる。みんなが驚くくらい格好いいバンドになるから。また色んな場所で会いましょう」

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10月12日(月)、Yeti ONEMAN TOUR 2015 FINAL「お月見」が渋谷O-WESTで開催された。
5月にGt.沢村 英樹が加入し、新体制となり初の東名阪ツアーを経てのファイナルとなる本公演。
これまで活動のベースだったヴィジュアル系というシーンから卒業し、より広いフィールドでの活動にシフトすることが告げられた。
劇的に変わりゆく環境のなか、変わることなき「原点と本質」を確かめ合ったこの夜の模様をお伝えする。

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定刻、ステージ上のスクリーンへ大きな月が映し出される。その情景はやがて宇宙へと変わり、また月へと帰る。
それを幾度か繰り返し見ていると、いつしか現実と夢の狭間のような、Yetiの世界へと辿り着いていた。
そこへ真っ白な衣装に身を包んだメンバーが登場。
一曲目「welcome」がライブの始まりを告げ、お月見の夜はかくして幕を開けた。

軽快な手拍子から弾けるような存在感を示す「picasso」。じわりじわりと会場の熱を高めていく。背後のスクリーンに映る4人の影。照明の点滅に合わせ大きく伸び縮みするそのシルエットさえ幻想的なライブを彩るエッセンスになる。

涼木が最初のMCでややいたずらな笑みを浮かべながら、「昨夜は楽しみ過ぎて寝れなかった」と言うと、客席、そしてメンバー3人の表情もふっと和らいだ気がした。

その後ライブは「ie」、曇天を突き破るような疾走感をもつ「kakurenbo」と続く。無垢な少年達といったイメージもあるYetiだが、人の心の奥底にある仄暗い部分を抉るような楽曲もあり、油断すると時おりゾクりとさせられる。
誰しもの心に潜む弱さ、儚さといったいわばマイナスに近い感情をも、彼らは躊躇、否定することなくそれを歌にし、ときに聴く者に問いかけ、その反応を受け入れ包み込む。

真っ直ぐに歩き、真実を語り生きることが容易ではない現実、永遠を夢見ながら、全てに終わりがあることを受け入れようとする気持ち。複雑に絡み合う思いと価値観、そこに答えや出口を見いだすべきかを葛藤する人格もまた存在する。Yetiの楽曲たちはそんな声にならない声を、同じ時代に生きる人々の心の裏側を映す鏡のようでもあり、聴く者を惹きつける。

ピアノの旋律とともに、沈む夕日がスクリーンに映し出された。
そのまま涼木の独唱から静かに紡がれる「if」へ。
まるで深海に降り注ぐ光のような、神秘的でいて、かつ哀愁をも漂わせるその空間に、心が引き込まれていた。

本公演のタイトル「お月見」は、Yetiという月が時を経てようやく満ちたことを意味するという。

「ワンマンツアーが決まったとき、Yetiは3人でした。今ステージをみてください。欠けてた月がまた、まんまるになりました。その月を照らしてくれているのは君たち。ここに集まってくれたみんなが光を届けてくれたから、僕らもまた頑張って輝き続けます」。涼木は優しい口調ながら力強く、そう語った。

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「monochro」「green」などを立て続けに披露し、会場のボルテージも一気に上がる。

どこに居ようと自分達の原点そして本質は変わらない、との思いを込めたという「home」。

そして本編ラスト「door door」へ。一音一音を聴く者の心に刻み付けるように奏でる4人の姿に、オーディエンスも精一杯に応える。ステージと客席との間の、温かでどこか家族のようにも思える信頼感と一体感を見ていて、この先彼らの向かう場所にも、確かな明るい未来を感じとることができた。

アンコールでは、5th mini album「光」のリリースと、それに伴う全国ワンマンツアーを開催することが発表された。

再びステージに登場したBikkeyと沢村。Bikkey「メンバーのなかで誰が好き?」。正直に答えづらそうに笑う沢村。
途中から多村も加わったメンバー達の本当に仲睦まじいトークとその背中から、今回のツアーに対する彼らなりの確かな手ごたえと自信を、十分に読み取ることができた。

やがて涼木が登場し、新曲「Teardrop」を含む4曲を披露。最後はツアーの成功とバンドの次なるステップへの旅立ちを祝って、会場全体が一つとなる大ジャンプで締めくくった。

新たな景色を観に、より広いシーンへと飛び立つ彼ら。昨日までのYetiも、明日からのYetiも、コアな部分は決して変わることはないだろう。

たくさんの想いと希望を背負い、次なるフィールドへの扉を開けたYeti。

彼らが今後どう歩み、何を成すのか、その過程と行く先をしかと見届けてほしい。

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[TEXT:河内香奈子]

◆公演名
Yeti ONEMAN TOUR 2015 FINAL
2015.10.12(mon)
TSUTAYA O-WEST 「お月見」

◆セットリスト
1.welcome
2.picasso
3.arrows

4.ie
5.kakurenbo
6.ju-sin
7.cheese
8.every
9.if
10.einstein
11.beautiful

12.monochro
13.green
14.music
15.home
16.door door

EN
1.Teardrop(新曲)
2.cats
3.loop
4.ten to ten

 

 

■Release Info
2016年第一弾リリース
5th mini album
「光」
※商品形態・仕様・収録内容等の詳細は後日発表。

 

■Live info
【Yeti ONEMAN LIVE TOUR 2016 「City Lights」】
2016年2月11日(木・祝)福岡Queblick
2016年2月13日(土)大阪・心斎橋Pangea
2016年2月14日(日)名古屋・新栄CLUB ROCK’N’ROLL
2016年2月21日(日)宮城県・仙台PARK SQUARE
2016年2月27日(土)東京・渋谷DESEO
2016年2月28日(日)東京・渋谷DESEO

 

【Yeti Presents 対バンTour in 東京 2015 ‘‘Sound of Sience’’】
11/13(金)恵比寿club aim 【出演】Yeti/room12/RONDONRATS。
12/4(金)新宿JAM 【出演】Yeti / CoolRunnings / phonon
12/6(日)下北沢GARAGE 【出演】Yeti/ユナイテッドモンモンサン/RONDONRATS。
12/26(土)渋谷CRAWL 【出演】Yeti / the irony
12/27(日)大塚Hearts+ 【出演】Yeti / 或るミイ

 

■Movie
Yeti 「music」 Music Video

Yeti 「if」 Music Video

 

■Official Site
http://yeti-web.jp