苗場の夜に現れた祝祭空間。今とあの頃が交錯するハレーション。MONDO GROSSO、FUJI ROCK FESTIVAL ’17 ライヴレポート!

今年のFUJI ROCK FESTIVAL ’17 、7/29(土)のベストアクトとの呼び声が高いMONDO GROSSOのレッドマーキーでのLIVE。14年前のMONDO GROSSOを知るファン、知らないファン、それぞれの思いを“音楽”でまとめ上げた至福の時間をLIVE写真と共にレポートする。
 
MONDO GROSSO @ FUJI ROCK FESTIVAL 2017/7/29。
苗場の夜に現れた祝祭空間。今とあの頃が交錯するハレーション。
 
タイムテーブルを広げて、ひとしきり悩んだのだ。同時刻には、ホワイトステージのLCD SOUNDSYSTEM。
そこからレッドマーキーへ急いでも、短く見積もって15分はかかる。決断を保留にしたまま、当日の朝、大沢伸一と東京スカパラダイスオーケストラの谷中敦の対談を読んだ。「フジが終わらないことには、今、MONDO GROSSOとしてライブというかたちで何ができるかわからない」という大沢の言葉。今日この日苗場にいられるのなら、MONDO GROSSOのライブを見逃す手はないのではないのか。直感的にそう思った。
 
たどり着いたレッドマーキー。人の波をかき分け、PA前中央に陣取る。フジロック土曜日の夜を彩りつづけるTRIBAL CIRCUS。そのトップバッターがMONDO GROSSOだ。オーディエンスはどこか浮き足立ち、これから何が起こるのか、その瞬間を待ちわびていた。
 
23時を回ると流れてきたギターリフ。『惑星タントラ』がはじまる。アルバムでヴォーカルをとった齋藤飛鳥(乃木坂46)の声は、音源として再生される。バンドの生っぽさから対照的な無機質な歌声が、さらにその平熱な世界観を浮き立たせる。
 
今回は生バンドとヴォーカル音源によるライブ構成?そう思った瞬間、アコースティックギターを鳴らしていた女性が一歩前へ出て歌いはじめた。『SOLITARY』。作詞・共作曲を手がけた大和田慧だ。繰り返されるリバーブとディレイ、ダブのリズムが、伸びやかな歌声と絡みあう。続く『春はトワに目覚める』も彼女がヴォーカルをとる。
タイトなリズムパターンとミニマルなシンセ音。スピードを増す音の渦、スクリーンには断片的に投影される無機物と有機物。踊りつづけるオーディエンスは、次第にトリップしていく。
 
 
一転、響き渡るバンドサウンド。下手から現れたおだんご頭の女性は、シルエットだけでわかる。birdだ!
一気にフロアのボルテージが上がる。アルバムの『何度でも新しく生まれる』という表題は、birdが手がけた『TIME』の歌詞に出てくる。手を伸ばし、空高く届くように歌う彼女の姿に、生けとし生きるものの讃歌だと思った。
 
 
 
繰り返されるベースラインからはじまる『ERASER』。先ほどから当たり前のように聴いているものの、大沢伸一がベースを弾いているのを観るのはこれが初めてだ。MONDO GROSSOのベーシストとしてステージに立つのは約20年ぶりというから、無理もない。表情を変えずバンドを取り仕切る姿は、ターンテーブルを前にしようと、ベースを弾いていようと、あまり変わらないように思える。屋敷豪太のタイトなドラミングは、縦横無尽に行き交う音色をピシッとまとめる。フロントにはエレキギターを抱えた二神アンヌが立つ。焦燥感とヒリつくような熱。バンドとしての一体感がいよいよ高まる。
 
 
 
 
近年、大沢とともに音楽制作に関わる北郷満春が『迷子のアストゥルナウタ』ではヴォーカルをとる。浮遊感漂うニューウェーブサウンド。フロアの天井にライン状に連なったブルーのキネティックライトが降りてくる。ゆるやかに弧を描く光景に、思わず手を伸ばす。『SEE YOU AGAIN』で登場したKick a Showの歌声には、青臭くほとばしるエナジーを感じる。続いて、大沢が2007年に個人名義で発表した『Our Song』。隆盛を誇るエレクトロに肉薄したこの曲は、当時クラブシーンのアンセムとなった。Kick a Showが歌った2曲は、確かにリンクするところがあるのかもしれない。ノスタルジックな情景を、刹那的に切り取ったようだった。
 
 
 
そして、暗転。ほどなくしてMONDO GROSSOが14年振りに復活を告げたリード曲『ラビリンス』のイントロが流れる。悲鳴にも似た歓声が上がる。まさか。満島ひかりが、レッドマーキーに現れた。本当に現れた! 前に押し寄せる観衆。流されてステージへと近づく。「見つめないで 哀しい方を」。かすかに震える歌声は、オーディエンスの熱に気圧されたのかもしれない。すぐに平静を取り戻し、透き通ったウィスパーボイスで歌う。その歌声は、ブルーの闇に吸い込まれていく。白いブラウスを纏った彼女は、MVでも見せたあのダンスを踊ってみせる。天使だ。2017年、この歌に出会えたことを本当に幸せだと思う。
 
 
 
閃光が7色に輝き、ブラジルのリズムが奏でられる。『LIFE』! 未だ色褪せないMONDO GROSSO最大のヒット曲だ。あれから17年という年月が、私たちに何をもたらしただろう。喜び、悲しみ、楽しみ、憤り……。手を叩き、歌うbirdがフロアにマイクを向ける。にわかに沸き起こるシングアロング。ここは、今を生きる私たちにもたらされた祝祭の場だ。タガを外したオーディエンスの歓声に、壇上のメンバーからも笑みがこぼれる。
 
 
Photo by Mariko Kurose
 
 
鳴り止まぬ拍手の中、大沢伸一がこの日はじめて口を開いた。「ありがとう、MONDO GROSSOでした。また!」その言葉を信じるなら、きっとまた会えるはず。その瞬間が、そう遠くないことを心から願っている。
 
 
Text by 大矢幸世 https://twitter.com/saci_happiness
 
 
 
大沢伸一のMONDO GROSSO SETによる全国DJツアー決定!
「SHINICHI OSAWA MONDO GROSSO SET DJ TOUR」
DJ:SHINICHI OSAWA(MONDO GROSSO ) and more
 
8/18(金) 渋谷 WOMB
9/9(土) 和歌山 Bar No.11
9/16(土) 宇都宮 SPACE LAB π
9/30(土) 京都 WORLD
10/7(土) 金沢 DOUBLE
10/8(日) 大阪 PICCADILLY
10/21(土) 札幌 alife sapporo
11/25(土) 岡山 YEBISU YA PRO
*本DJツアーへのゲストボーカルの出演予定はありません。
 
 
■Release Infomation
MONDO GROSSO (モンド・グロッソ)
New ALBUM
『何度でも新しく生まれる』
Now On Sale
 
大沢伸一の音楽への挑戦の歴史とも呼べるMONDO GROSSO。
2017年に放たれる14年振りのアルバムは、MONDO GROSSO史上初となる “全曲日本語ボーカル曲”。
大沢伸一のサウンドと多彩な作詞家、ボーカリストがMONDO GROSSOの音楽世界を彩る。
 
[CD+DVD] CTCR-40387/B ¥3,300(tax out)
[CD only] CTCR-40388 ¥2,800(tax out)
 
CD
01. TIME [Vocal : bird]
02. 春はトワに目覚める (Ver.2) [Vocal : UA]
03. ラビリンス (Album Mix) [Vocal : 満島ひかり]
04. 迷子のアストゥルナウタ [Vocal : INO hidefumi]
05. 惑星タントラ[Vocal : 齋藤飛鳥 ( 乃木坂46)]
06. SOLITARY [Vocal : 大和田慧]
07. ERASER [Vocal : 二神アンヌ]
08. SEE YOU AGAIN [Vocal : Kick a Show]
09. late night blue [Vocal : YUKA (moumoon)]
10. GOLD [Vocal : 下重かおり]
11. 応答せよ[Vocal : やくしまるえつこ]
 
【サブスクリプション限定ボーナストラック】
春はトワに目覚める(ver.1) [Vocal:UA] (Apple Music / iTunes)
TURN IT UP [Vocal:大橋トリオ] (AWA)
KEMURI [Vocal:ACO] (Spotify)
 
DVD
Music Video
・ラビリンス
・惑星タントラ
・SEE YOU AGAIN
・TIME
 
iTunes▼
 
 
■YouTube
「MONDO GROSSO / ラビリンス[Vocal:満島ひかり](VR180 experience) at FUJI ROCK FESTIVAL ’17」: https://www.youtube.com/watch?v=mr-_vRYxfpA
 
 
■MONDO GROSSO OFFICIAL情報
MONDO GROSSO OFFICIAL WEBSITE:http://www.mondogrosso.com/
MONDO GROSSO OFFICIAL Twitter:https://twitter.com/MONDOGROSSO_JP