内田彩、笑顔の涙の幕張メッセライブ! AYA UCHIDA LIVE2017「ICECREAM GIRL」ライブレポート

歌手・内田彩の実力の高さと、人間・内田彩のやさしさを見せつけられたライブだった。

9月13日リリースのパーフェクトカラフルポップアルバム『ICECREAM GIRL』はオリコンウィークリーチャート2位を記録。アルバムには、アイスクリーム屋のショーケースのようなバラエティー豊か色とりどりの曲たちの並ぶ。そんなアルバムの名を冠したライブ、「AYA UCHIDA LIVE2017 『ICECREAM GIRL』」最終日は笑顔と涙に彩られた。

 

5000人超の観客が待つなか、会場が暗転しSEが流れる。ステージ中央にはコーンが立ち、その上には大きなアイスクリームをかたどった白いバルーンが乗った。アルバムの1曲目でもある「What you want!」が流れ出すと、アイスクリームが割れ、内田彩が現れる。ウェイトレス風の衣装を来た内田が「みなさんこんにちわ! ICECREAM GIRL楽しんでね!」と呼びかけると、幕張メッセは大歓声とサイリウムの光に包まれた。

ステージセットはカフェや本屋などが立ち並ぶ風景を作り出している。ミュージカルのステージを思わせるセットをバッグに内田はキュートな歌声を聴かせる。

「Party Hour Surprise!」でくるんと周り、たっぷりしたスカートをふわりとさせた内田。その勢いのまま「いざゆけ! ペガサス号」に突入し、「これからこの広い幕張メッセイベントホールのみんなに会いに行くよ!」と言って花道に歩き出した。「アイスクリームガールのみんなー!」と内田が呼びかけると、会場からは野太い声も聞こえてくる。すかさず「君たちはボーイだろう!」とツッコミながらも改めて、「アイスクリームボーイのみんなー!」とコールをする内田によって会場は一気にあたたかい空気に包まれた。

「Sweet Rain」が終わると内田は正面ステージに帰る。商店街を思わせるセットが開くと、中には今回のライブで内田を支えるバンドメンバーたちがいた。内田自身も作詞に携わった「Holiday」では、靴が壊れるアクシンデントも起こったが、彼女は気丈に歌いきった。

「心配かけてごめんね! びっくりしたよね〜、大丈夫だよ!」と言って、内田はファンを安心させる。「どん底を味わった女は強いよ!」と言って心配していたファンを笑わせる内田のユーモアと優しさに、胸を打たれた。

「Merry GO」では「ダンサーズちゃん」も出てきてステージはより一層華やかになる。

2日間のライブには、日替わりの曲も用意されていた。1日目は「キックとパンチどっちがいい?」、そして2日目は「あんまりライブではできない曲」という「泣きべそパンダはどこへ行った」が歌われた。右手にはめたパンダのぬいぐるみを床に叩きつけてみせる内田に思わず笑ってしまう。先のアクシンデントもあって「悲しいのに 泣きたいのに でもね笑っているの 明るくいきましょう 元気にいきましょう」という歌詞が、内田の気持ちを代弁しているように思えて、切なくも暖かい気持ちになる。

「アップルミント」からはバンドサウンド全開だ。続く「Growing Going」、「ドーナツ」、「Ruby eclipse」、「絶望アンバランス」はメドレーでパフォーマンスされていく。
「Ruby eclipse」以降は、これまでのポップでキュート、時にメルヘンでスウィートだった歌唱とは異なり、パワフルでエモーショナルな歌声が鳴り響く。「絶望アンバランス」でのアンニュイな表情に、内田の多面性を見せられたような気がした。さっきまでの少女のような内田彩は、すっかり大人びた表情に変わっている。内田のころころ変わる声色と表情にすっかりノックアウトされてしまう。

MCで内田は「私だって大人っぽいところあるんです〜」と笑ってみせた。

ライブでのコールアンドレスポンスを想定してつくったという「Under Control」で、会場は内田の想像通りのヒートアップを見せ、その流れのままに「キリステロ」を歌い上げる。

「Close to you」をしっとり歌い上げ綺麗なファルセットを聴かせると、衣装替え後の「カレイドスコープロンド」では、赤いドレスを纏った「ダンサーズちゃん」に囲まれながら、妖艶にパフォーマンス。
たった一回のライブで内田彩はどれだけ多くの表情をみせてくれるのだろうか。まるで万華鏡のように変化していく彼女のパフォーマンスにファンはみなうっとりしたことだろう。

この日のセットリストで白眉だったのは「Blue Flower」、「ピンク・マゼンダ」、「Yellow Sweet」の並びだろう。曲名からもわかるように、ブルー、ピンク、イエローといった色がテーマになった楽曲たちは、内田が何色に染まっても高レベルのパフォーマンスができるという裏付けになった。

再び行われたメドレーは「ダンスナンバーメドレー」。「ダンサーズちゃん」たちとキレのあるダンスを披露する。

MCで「今回はダンスも多めに挑戦しようということで、かっこいいダンスにも挑戦してみましたよ」と言うと、会場から歓声が上がる。

「失敗あれば成功あり、成功あれば失敗あり。何度でも何度でもいろいろなことに挑戦し続けるそんな自分でありたいなと思っています」と言って歌ったのは「Say Goodbye,Say Hello」。爽やかなロックチューンに乗せて「私が私をアップデートしてく」と歌う内田彩に勇気づけられる。

「Blooming」、「SUMILE SMILE」を明るく歌うと、「Sweet Dreamer」ではトロッコに乗り、アリーナを一周した。内田の瞳には涙が光り、「みんなに泣かされちゃったよ」と彼女は笑っていた。


本編ラストは「Ordinary」。「これからも 日常は続いてく 止まらずに進む明日が 優しく微笑む」という歌詞が、明日には「ICECREAM GIRL」の夢から覚めてしまう僕らを鼓舞しているように聞こえる。「私の目がとろけちゃって、涙がこぼれちゃったな」とほほえみ、内田はステージを後にした。

鳴り止まない歓声に応えてのアンコール。「鼻水ちゃんと拭いてもらったよ〜」と言って、特製のアイスクリーム型のマイクが臭いことを話したり、バンドメンバーにインタビューをする内田を、ファンは笑顔で見つめる。

「ダンサーズちゃん」も呼び込み、メンバー全員でパフォーマンスしたのが「Everlasting Parade」。ファンの振るサイリウムで光輝く空間に、内田彩のメルティングでキュートな歌声がこだました。

この日は特別に、ラストで再び「Say Goodbye, Say Hello」を披露した。内田彩と彼女のファンは、「何度でもさよならを」する、また会うために。

「本当に頼りなくておっちょこちょいな私をいつも笑顔で迎えてくれて、背中を押してくれて、応援してくれて、ありがとう。最初は不安で、イヤイヤ、渋々みたいにはじめたソロ活動でしたけど、こんなに心から嬉しいと思いながら歌えたのは幸せなことだったと思います」と言って、内田彩は笑顔で手を振り、ステージを後にした。

会場には、多幸感溢れるライブを名残惜しむファンの歓声が、響いていた。

 

1.What  you want!
2.Party Hour Surprise!
3.いざゆけ! ペガサス号
4.Sweet Rain
5.Holiday
6.Merry Go
7.泣きべそパンダはどこへ行った
8.アップルミント
9.《メドレー》Growing Going、ドーナツ、Ruby eclipse、絶望アンバランス
10.Under Control
11.キリステロ
12.Breezin’
13.Close to you
14.カレイドスコープロンド
15.EARNEST WISH
16.Frozen
17.Blue Flower
18.ピンク・マゼンダ
19.Yellow Sweet
20《メドレー》with you、color station、Floating Heart、with you
21.Say Goodbye,Say Hello
22.Blooming!
23.SUMILE SMILE
24.Sweet Dreamer
25.Ordinary

アンコール
26.Everlasting Parade
27.Say Goodbye, Say Hello

取材・文 安里和哲