“あの光”へと第一歩。ラストアイドルの躍進を見た 「1周年記念コンサート」ライブレポート


気がつくと2018年も最終章。つい先日に始まったと思っていた平成30年は、残すところ2週間を切った。それだけ1年という月日は短い。2017年12月20日、とあるアイドルグループがデビューした。22人の少女はオーディションの名のもとテレビ番組で公開のバトルを繰り広げ、普通の女の子を脱しアイドルの称号を手にしたのだ。彼女たちこそ、究極のアイドルグループ“ラストアイドル”である。
デビューから1年後の12月19日(水)には、TOKYO DOME CITY HALLで『1周年記念コンサート』を開催しソールドアウト。1年という短期間とは思えぬ快進撃である。この日はラストアイドル1期生だけでなく、2期生と2期生アンダーも集結し、総勢52名でのステージングとなった。

オープニングアクトを飾ったのは、総勢18名の2期生アンダーによる「サブリミナル作戦」だ。自転車に乗るようなふりつけは可愛らしく、アンダー生ならではの初々しさが際立つ。センターの篠原望は「盛り上がっていきましょう!」と煽り、本編に向けて会場を温めた。

照明が落ちると歓声が響き、登場したのはメンバーではなくチビドラゴンの異名を持つRYUSEIである。大人顔負けのヌンチャク捌きや回し蹴りを披露し、一気に観客を引き込む。「今から、コンサート始まるよ!」と愛らしい声でコールをし、ステージは幕開けた。
メンバー紹介の映像がスクリーンに流れ、その様子に色とりどりのサイリウムが輝く。1期生と2期生はステージに現れると、大きな声で「好きだ―!」と叫び「好きで好きでしょうがない」へとなだれ込んだ。楽曲を理解し切ない表情を浮かべるメンバーに、すでに涙腺が崩壊しそうになる。こんなにも“アイドル”な表情を浮かべる彼女たちが、1年前は普通の女の子だったなんて信じられるだろうか。総勢34名で魅せるフォーメーションダンスも圧巻で、グッと体が前のめりになる。また、間島和奏の凛とした美しさは目を見張るものがあり、1曲目のセンターを見事に成しとげていた。


暗転を挟み間島と清原梨央がWセンターの「この恋はトランジット」へ。先ほどのうつろな空気は消え去り、キラキラと可憐な6人がステージを舞った。抜群なアイドル感は、さすが指原莉乃プロデュースである。間髪あけずにライブは続き、“くしゅんっ”というくしゃみの表現に可愛すぎてハッとさせられる「君のAchoo!」だ。2ndシーズンでバトルに勝利した大切な曲を踊るシュークリームロケッツは、楽曲理解の能力が上がっているからか以前より可憐に人々の目に映った。ホーンのサウンドがかっこいい「スリル」を魅せつけたのはGood Tearsである。デビュー当時よりもメンバーが減っているにも関わらず、パフォーマンスは小さく見えないどころか、より迫力が増していた。山本愛梨の笑顔が“イエス!”と輝いたのは、「青春シンフォニー」。指を真っすぐに伸ばし“ここから”と天を指す姿は頼もしく、その目線の先にはTOKYO DOME CITY HALL以上の会場を捕えているようだった。2ndシングルゾーンのとりを飾ったのはLaLuceへの改名を発表した楽曲である「風よ吹け!」だ。

生歌の音圧の強さに、さすが1期選抜メンバーであるということを突き付けられる。負けを味わっても“今日の悔いを明日の糧に”してきた、LaLuceの負けん気の強さは魅力のひとつと言っても過言ではないだろう。

MCを挟み、2期生を迎えてのコラボタイム。1stシングルから表題を抜いた4曲が披露された。色気たっぷりの「涙の仮面」から始まり、「想像上のフルーツ」「失恋乾杯」と続く。このターンで特筆すべきは、間島和奏と篠原望がWセンターとして描かれた「Again&Again」だろう。1期で暫定センターだった間島と2期で暫定だった篠原、二人がコラボし“何度でも転べばいい 立ち上がる次のチャンスはあるんだ”と歌う姿は胸に迫るものがあった。それに寄り添うのも、3rdシーズンで敗れた2期生アンダーのメンバーである。負けを知っているからこそ表現できる、強さや美しさが間違いなく存在していた。


ここで映画『がっこうぐらし!』の寸劇タイムへ。学校に寝泊まりする“学園生活部”の日常を描く本作では、学園生活部の4人以外みんなゾンビになってしまったという設定であり、寸劇もそれに乗っ取ったセリフが飛び出した。りーさん役の間島和奏が「もう私たち以外、人間はいないのに!」と叫ぶと、ゾンビがいる日常を受け入れられていないゆきを演じる長月翠が「お客さん、こんなにいるよ!」と応戦。みーくんを務める清原梨央が「ゆき先輩には、やっぱり人間に見えるんですね…」と呟き、笑いを誘った。くるみ役の阿部菜々実が「私たちには、愛があるじゃん!」と告げ導かれたのは、映画の主題歌である「愛しか武器がない」だ。12月5日にデビューしたばかりの2期生だが、その姿は堂々としていてオーディションバトル時のたどたどしさを感じさせない。ラストアイドルグループのなかで、最大数である12名。だからこそ魅せられるフォーメーションダンスが、会場を後ろのほうまで圧倒する。篠田萌は「まだまだ経験不足な私たちですが、一緒にラストアイドルを盛り上げていけるように頑張ります」と力強く語った。

ここからは「生理的なアンテナ」を皮切りにシャッフルユニットタイムへ突入した。発表当時は賛否両論を呼んだシャッフルであるが、ライブで目にするとこのユニットだからこそ気づけた新たな魅力があるようにも感じる。
MCでは2期生(篠原望、木﨑千聖、高橋美海)から1期生(大石夏摘、鈴木遥夏、西村歩乃果、石川夏海)に質問のコーナーへ。高橋からの「釣り台詞を教えてほしい」というお願いに対し、1期生がとっておきの一言を伝授する。なかでも大石の「こっち見ないで、恥ずかしい。私、マジになるから」という姿はツンデレの極みで、彼女が中学生ということを忘れそうになった。

ステージに総勢52名が大集合しパフォーマンスされたのは、「眩しすぎる流れ星」である。撮影可能タイムということもあり、メンバーが四方八方へ。トロッコに乗り近くに来るだけかと思いきや、2階席や3階席のほうまで現れ観客を楽しませた。長月翠がファンへ投げキスをすると、相澤瑠香はカメラへ向かってピースサイン。サービス精神の高さも人気の一端を担っているということを感じさせるには十分すぎる5分間だった。


長月翠の「スペシャルゲストの登場です!」という言葉を合図に現れたのは、なんとマーティ・フリードマン。歪みの効いたギターサウンド、チョーキングがキュインキュイン鳴き叫ぶと会場からは歓声が響いた。そして、そのまま4thシングルバトルで優勝を飾った「Everything will be all right」へ。プロデューサーである後藤次利も駆けつけ、ベースとして参加。生の弦サウンドに乗っかるLaLuceのパワフルな歌声は、生バンド演奏ライブという新たな可能性も感じさせるものだった。


そして、怒涛の10曲パフォーマンスでラストスパートをかける。4thシングルの楽曲と5thシングルのカップリングをLaLuce、Good Tears、シュークリームロケッツ、Someday Somewhere、Love Cocchiの順に披露した。

本編のラストを飾ったのは、1stシングルの表題曲である「バンドワゴン」だ。LaLuceに当たるオレンジの照明は朝日、ブルーの照明は水を彷彿させ、MVの光景がそのまま目の前に広がっているよう。途中で他1期生と2期生、2期生アンダーも登場しオールキャストでの大団円。この曲を歌っているメンバー、歌いたかったメンバー、憧れたメンバーで紡がれる「バンドワゴン」は、いろいろな思いが交錯し楽曲をより深いものにしていた。“未来が続く限り ずっと チャンスはあるよ”その言葉が嘘ではないのだと、ステージに立っている52名が証明したのだ。


メンバーがステージを去ると、ラストアイドル名物である吉田豪が登場した。吉田は「何か重大発表するわけでもなく、ジャッジをするわけでもなく、変な料理を食べるわけでもなく、アンコールの場繋ぎです」と告げ、会場の笑いをさらう。ヒロインたちの衣装チェンジを待つ間は、ピエール中野や大森靖子などの審査員、カンニング竹山やおぎやはぎ、伊集院光などからのお祝いメッセージビデオが放送された。映像が終わると、「せえの、アンコール!」と会場を煽り、吉田は闇に消えていった。

ひとり西村歩乃果が現れ、ざわつくTOKYO DOME CITY HALL。ピアノの前に座ると「明日の空を見上げるために」を弾き始めた。次第にメンバーが全員集合し(中学生を除く)、生伴奏での合唱を披露。西村を見守る大森莉緒の瞳は優しく、そっと視線で「頑張れ」と送る。西村のピアノ演奏は5日前に言い渡されたことらしく、決して満点とは言えなかったが、鍵盤を流れる指は柔らかさのなかにも芯があり、彼女が誠心誠意の演奏をしていることが伝わってきた。それに乗る歌声も力強く響き、彼女たちがこの1年間を着実に踏みしめてきたことを感じさせるものだった。


ラストを飾ったのは、定番ソングとして定着した「ラスアイ、よろしく」。サンタ衣装に着替えたメンバーが、ステージ上やトロッコでキラキラした笑顔を振りまきつつサインボールを投げ回った。長月の「クリスマスプレゼントがあります」という発言により、キャノン砲から発射されたのはサイン入りのTシャツ。ラスアイサンタのサプライズで盛り上がり、1周年は幕を下ろした。


長月翠は全編終了後「みなさんに辛いことや悲しいことがあっときには、私たちが背中を押せるように頑張っていきます」と語っていた。この言葉は少しずつ実現できてきているのではないかと感じる。それは終演後に「明日から、何を楽しみに生きればいいんだ…」という嘆きを、たくさん耳にしたからである。アイドルは生きる糧を与える希望のひとつだ。彼女らが人々を何度も助ける“あの光”になる日も、そう遠くないことだろう。

Photo by Yoshifumi Shimizu
Text by Ayaka Sakai

<セットリスト 12月19日>

OA. サブリミナル作戦(2期生アンダー)
1. 好きで好きでしょうがない(1期生、2期生)
2. この恋はトランジット(Someday Somewhere)
3. 君のAchoo!(シュークリームロケッツ)
4. スリル(Good Tears)
5. 青春シンフォニー(Love Cocchi)
6. 風よ吹け!(LaLuce)
7. 涙の仮面(Good Tears、2期生)
8. 想像上のフルーツ(シュークリームロケッツ、2期生)
9. 失恋乾杯(Love Cocchi、2期生)
10. Again&Again(Someday Somewhere、2期生アンダー)
11. 愛しか武器がない(2期生)
12. 生理的なアンテナ(マーブルトパーズ)
13. 予想のメトロ(るかわなっつん)
14. ほっといて(まっしゅりん。)
15. 17歳の扉(mili mili)
16. デジャヴュじゃない(ちぇか)
17. どんなに好きでいても(はしっこは168せんち)
18. 眩し過ぎる流れ星(全員)
19. Everything will be all right(LaLuce)
20. あんたは誰だ?(LaLuce)
21. へえ、そーお?(Good Tears、2期生、2期生アンダー)
22. ソメイヨシノ(Good Tears)
23. 鼓動の理由(シュークリームロケッツ)
24. 夜中 動画ばかり見てる…(シュークリームロケッツ、2期生、2期生アンダー)
25. 窓辺で歌いたい(Someday Somewhere)
26. いつの日かどこかで(Someday Somewhere、2期生、2期生アンダー)
27. なんだかんだでスタート(Love Cocchi)
28. Love Docchi♡(Love Cocchi、2期生、2期生アンダー)
29. いつかキスするその日がきても(Love Cocchi、2期生、2期生アンダー)
30. バンドワゴン(全員)
EN.1 明日の空を見上げるために(全員(中学生メンバー除く))
EN.2 ラスアイ、よろしく(全員(中学生メンバー除く))

<ラストアイドル> More Info…
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