Cö shu Nie ワンマンライブ 『Flos Ex Machina《re:bloom》』EX THEATER ROPPONGIライブレポート

9月8日、Cö shu Nieがワンマンライブ『Flos Ex Machina《re:bloom》』をEX THEATER ROPPONGIで開催した。

この日のライブは6月2日に行われた『TOUR 2022“Flos Ex Machina”』の最終公演となるZepp Diver City公演で「今年の秋に新譜を出して、またライブをやるので」と予告されていたもの。

ツアーのセットリストに新曲・旧曲を加えてアップデートし、もう一度大輪の花を咲かせてみせた。

最新のアーティスト写真同様の白を基調とした衣装でメンバーがステージに姿を現すと、もともとインディーズ時代に発表され、2020年にリマスター版が配信リリースされているミニアルバム『OVERKILL』からの“supercell”でアッパーにライブがスタート。

中村未来が「今夜も絶対的に美しい夜にします」と宣言し、“絶体絶命”から“SAKURA BURST”を畳み掛けていく。

中村はお馴染みのファイヤーバードではなくテレキャスターをプレイし、その姿も新鮮だ。さらにはこちらもインディーズ時代の楽曲である“ペリカン号でどこまでも”が披露され、サビで中村が「行けますか?」と呼びかけると、フロアからは一斉に手が上がって、いつの時代の曲であってもバンドとオーディエンスがしっかりその空気を共有していることが伝わってくる。

松本駿介が「前回のツアーファイナルの約束を果たしにきました。来てくれてありがとう。最高の夜にしましょう」と呼びかけて大きな拍手が起こると、サイレンを想起させる赤い照明の中、一度ステージから捌けていた中村が拡声器を持って再登場し、“BED CHUTE!!”でエキセントリックなパフォーマンスを披露。この曲や“病は花から”といった最新アルバム『Flos Ex Machina』の収録曲は音源だと打ち込みのビートミュージックだが、松本とサポートドラマーの裕木レオンが高度なテクニックを生かして生演奏することにより、楽曲に新たな命が吹き込まれていく。

再び『OVERKILL』から“butterfly addiction”が演奏されると、中村はギターを置いてキーボードに移動。“give it back”では大サビでステージ上のミラーボールが回り、フロアをまばゆい光が包み込む。中村が「『やっと会えた』、そういう気持ちです。約3ヶ月ぶりのライブなんですけど、すごく時間が経ったような気がします。みんなをハグしたいくらい愛おしいです」と話して披露された“青春にして已む”では、ラストの〈10年後もその先も君のままで居て〉〈今を愛して重ねていこう〉という歌詞をオーディエンスに語りかけるように歌い、グッと音数を絞ったバラードナンバー“miracle”は、艶と陰りが同居したボーカルの表情が実に素晴らしい。

「新しい曲をやるって約束したでしょ?恋の終わりの歌です。聴いてください」と言って、この日初披露されたのは、9月28日の配信リリースが発表されている“夢をみせて”。チルなベッドルームポップ風のトラックと演奏も耳に残るこの曲で、中村はヘッドセットをして表現力豊かにダンスをしながら歌唱。もともとCö shu Nieのライブは映像や照明の演出を含めて物語性が強く、舞台を観ているような気分になることがあるが、この曲はまさにミュージカルを観ているかのよう。

アウトロのクラシカルな余韻に至るまで、「静」のCö shu Nieの新境地を見せつけた。

ポップな印象の“夏の深雪”を終えると、中村はこの曲が「去年父親が亡くなったとき、明るい気持ちになりたいと思って」書いた曲だと明かし、「ずっと応援してくれるみんなはすごく特別なので、自分のことをもっと知ってもらえたらなっていう想いが芽生え始めています」と話し始める。

そして、「みんなの悲しみを包み込みたいし、苦しみを壊したいし、みんなの存在が大きくて、そういうことも音楽を作る理由になっています。こうしてここで会えて、顔を合わせて、音楽を共有できることが本当に幸せでたまらないです」と伝えると、場内を暖かな拍手が包みこんだ。

「ここからはぶっ飛ばしていきます」と言ってスタートしたライブ後半戦は、中盤から一転して「動」のCö shu Nieが全開に。高揚感に溢れる“asphyxia”から「着いて来れるの?」と呼びかけて“bullet”を続け、“永遠のトルテ”では中村も松本もステージ前方に出て行ってオーディエンスを煽り、カラフルな照明も相まって狂想的な盛り上がりが生まれていく。「まだまだ行きますよ!」と、もう一度『OVERKILL』から“フラッシュバック”が披露されると、ここでこの日初めて中村がファイヤーバードを持って、フロアのテンションもさらに上昇。

極めつけはSNSにスタジオでの動画がアップされていた新曲“アナアキ・アナンケ”で、松本のヘヴィなベースリフが煽動的なこの曲は文字通りのカオスを生み出し、この日何度目かのクライマックスを作り上げた。

「この曲は決意の曲です。みんなが今夜暖かい眠りにつけますように、祈りを込めて」と中村が話して最後に演奏されたのは、Cö shu Nieの始まりの曲でもある“迷路”。

これまでも特徴的だった静と動の対比がよりドラマチックに、より極端に進化していることを印象付けて、特別な一夜が幕を閉じた。

 

ライター:金子厚武

カメラマン:鳥居洋介

■ワンライブ情報

タイトル:Cö shu Nie “Flos Ex Machina 《re:bloom》”

日程:2022.09.08(木)

場所:EX THEATER ROPPONGI

時間: 18:00開場/ 19:00開演

■デジタルシングルリリース情報

タイトル:夢をみせて 作詞・作曲:中村未来 編曲:Cö shu Nie

配信リリース日:2022年9月28日(水)

■最新アルバム情報

2ndアルバム「Flos Ex Machina」

CD発売日:2022.3.16 https://smar.lnk.to/ThGtKK

デジタル配信日:2022.3.16 https://smar.lnk.to/pp9c7h

◯初回生産限定盤 AICL-4188 ¥6,000(tax in)

※ボックス&アートカード豪華仕様 /未公開ライブ映像がWEBで見れるアクセスコード封入

◯通常盤 AICL-4189 ¥3,300(tax in)

– Track List –

  1. red strand※「PSYCHO-PASS サイコパス 3 FIRST INSPECTOR」EDテーマ
  2. BED CHUTE!!
  3. undress me※テレビ東京 ”サタドラ” 「女の戦争~バチェラー殺人事件~」主題歌
  4. fujI
  5. 病は花から
  6. 青春にして已む
  7. miracle※WOWOW『ドラマW インフルエンス』主題歌
  8. 夏の深雪
  9. give it back※TVアニメ『呪術廻戦』第2クール エンディング主題歌
  10. SAKURA BURST※TVアニメ『コードギアス 反逆のルルーシュ』第2クールEDテーマ済み
  11. nightmare feathers_ ※Instrumental
  12. 迷路 ~序章~
  13. 迷路 ~本編~

■Cö shu Nieプロフィール

声の表情で魅せる切ない女性ボーカルと、繊細でカオスなバンドサウンド。

シーケンスで華やかに彩る独創的な世界観で、ロックもポップも越えて、軽やかに行進するバンド・Cö shu Nie(コシュニエ)。

2018年、アニメ「東京喰種:re」のOPテーマとなる「asphyxia」をソニー・ミュージックレーベルズからリリース。

Spotify “Tokyo Super Hits!”のカバーや、Apple MusicのNew Artist選出されるなど、海外ファンも含めてストリーミングヒットし、6000万回再生を突破。2019年、アニメ「約束のネバーランド」EDテーマとして「絶体絶命」「Lamp」異例の2曲が起用。

アニメ「PSYCHO-PASS サイコパス 3」EDテーマにも抜擢され「bullet」をリリースし、同年12月に1stアルバム「PURE」をリリースし、iTunesでは総合チャート2位を獲得。

2021年1月、TVアニメ「呪術廻戦」第2クールエンディング主題歌となる「give it back」が単曲では自身最高位となるiTunesで2位を獲得し、ストリーミングも1500万回を突破するなど国内外で注目を集める。2022年3月2ndアルバム「Flos Ex Machina」をリリース。

公式サイト:https://coshunie.com

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