11月17日 にしな ワンマンツアー「1999」ライブレポート

10月28日の大阪・NHK大阪ホールを皮切りに始まったミュージシャン・にしなのワンマンツアー「1999」が東京・LINE CUBE SHIBUYAでツアーファイナルを迎えた。アルバム『1999』の収録曲はもちろん、これまで彼女が生み出してきた楽曲を網羅したセットリストは、進化し続ける彼女の「今」を見せつけるのに充分。すばらしい演出とパワフルなサウンド、そして表情豊かな歌が、にしなの現在地を雄弁に物語るライブだった。

開演時刻、まずステージにはカッパの着ぐるみが登場して、ラジカセから流れる音楽と共に観客を盛り上げる。そして力強いサウンドとともに幕が上がると、そこにはバンドとともににしなの姿があった。ドラマティックなオープニングに、最初から客席では手拍子が巻き起こる中、1曲目に披露されたのは「スローモーション」だ。にしなの弾くギターが力強くコードを奏でる。「自分らしく楽しんでもらえたら嬉しいです」と挨拶すると、続いてはハンドマイクで「東京マーブル」。そこから「FRIDAY KIDS CHINA TOWN」へとつないでいく。今年春のワンマンライブ「虎虎」以降コンビネーションを高めてきたバンドとの息もぴったりで、序盤から圧倒的なグルーヴが生まれていった。そしてそれを引っ張っているのは間違いなくパワーを増したにしなの歌だ。ステージから放たれる音のすべてが前回のワンマンのときよりも骨太に、そしてヴィヴィッドになっているが、そんな「強い音」の中にあってもにしなの声はまっすぐに届いてくる。

「楽しめていますか?」。ファーストアルバム『odds and ends』の楽曲を中心に構成された中盤、「桃源郷」を終えたにしなが客席に問いかける。その表情には柔らかな笑みが浮かび、ツアーファイナルの緊張も徐々にほぐれてきたようだ。バンドメンバーを紹介するとますますリラックスしたのか、その後の「centi」では一層伸びやかな歌声が広がる。そのままリズムをつないで「夜間飛行」へ。体を大きく揺らしたり折り曲げたりしながら全身で歌を表現するにしなの姿からは、彼女自身がこうしてステージで音楽をやることを心から楽しんでいることが伝わってくる。一転、「ワンルーム」ではピアノとにしな自身の弾くギターの音色をメインにしっとりとパーソナルな風景が描き出される。部屋で思いに耽っているかと思えば空を飛んだり宇宙に出かけたりする、そのしなやかな想像力こそにしなの音楽の魅力だが、ライブで聴く彼女の生の歌は、その想像の翼をぐんぐんと広げ、観客の眼前に風景を浮かび上がらせる。その表現力も圧倒的だ。

ギターの弾き語りから始まってぐんぐん加速していった「透明な黒と鉄分のある赤」のダイナミックなパフォーマンスを終えると、あっという間にライブも終盤。にしなはライブがもうすぐ終わってしまうことに「もったいないなという気持ちです」と名残惜しそうに語っている。今年は夏フェスにも多く出演し活躍の場を広げた彼女だが、フェスでライブを観ていたときに感じたことをもとに作った曲がある、といって「ケダモノのフレンズ」を歌い始める。「みんなそれぞれ孤独を持ち合わせているんだな、孤独も悪くないな」――そんな気持ちを込めた切なくも愛しいこの曲では、グッズとして発売された「ケダモノのしっぽ」も大活躍。曲のリズムに合わせて客席でもふもふのしっぽが揺れる様がなんとも愛らしい。もちろんにしなもしっぽを手にステージを自由に動き回る。そこから「U+」、そして「ヘビースモーク」を経て「青藍遊泳」へ。この曲に込められた未来への願いのような感情が、ツアーファイナルという特別な空間を青く、みずみずしく彩っていく。

そして「最後に、ツアータイトルになっている曲を」という言葉とともに披露されたのはもちろん「1999」だ。さまざまな風景を重ね合わせたようなスケールの大きなサウンドの上で、ときに優しく語りかけるように、ときに力強く宣言するように、にしなの歌声が広がっていく。曲の終わりには大量のスモークがステージを覆い尽くし、やがて客席も包み込んでいく。楽曲に描かれた「最後」をそのまま表現したような圧巻のフィナーレ。気がつくとステージからメンバーはいなくなり、オープニングでカッパが音楽を聴いていたラジカセがスポットライトに照らし出されていた。まるですべてが夢だったかのような余韻を残して、ライブ本編は終わりを迎えた。

アンコールで再びステージに戻ってくると、にしなは改めて「1999」について語り始めた。地球滅亡の夜を描いた楽曲だが、もちろん地球の滅亡を願って書いたのではない、ということ。自分にも自分にとって大切な誰かにも必ずやってくる「終わり」、それがあるからこそ毎日「ありがとうとごめんねをちゃんと言えたらいいな、周りの人を大切にして生きられたらいいな」という願いを込めたこと。語り終えると改めて「今日は来てくれてありがとうございました」と客席に感謝を伝えるにしなを、この日一番の拍手が会場を温かく包んだ。そして最新曲「ホットミルク」を披露。この曲だけは撮影OKということで、客席からは無数のスマートフォンがステージに向けられた。「私はひねくれていて臆病者で、ステージの真ん中に立って歌うタイプの人間じゃない。でも自分をありのままでライブを楽しませてくれるお客さんがいて、かっこいいバンドメンバーやスタッフがいて、そのおかげで音楽を自分らしくできているなと思いました」。そんな言葉とともに最後の曲、「アイニコイ」へ。にしなの音楽への愛、メンバーへの愛、そして集まったお客さんへの愛が溢れたライブは、清々しいバンドサウンドとともに幕を下ろしたのだった。

文:小川智宏

写真: ERINA UEMURA

 

<ワンマンツアー「1999」>

2022年10⽉28⽇(金) NHK⼤阪ホール

2022年11⽉3⽇(祝木) 京都劇場

2022年11⽉5⽇(土) 名古屋市公会堂

2022年11⽉6⽇(日) LINE CUBE SHIBUYA

2022年11⽉17⽇(木) LINE CUBE SHIBUYA

<セットリスト>

  1. スローモーション
  2. 東京マーブル
  3. FRIDAY KIDS CHINA TOWN
  4. ダーリン
  5. 真白
  6. 夜になって
  7. 桃源郷
  8. centi
  9. 夜間飛行
  10. ワンルーム
  11. 透明な黒と鉄分のある赤
  12. ケダモノのフレンズ
  13. U+
  14. ヘビースモーク
  15. 青藍遊泳
  16. 1999

EN1. ホットミルク

EN2. アイニコイ

各音楽配信サービスにてセットリストプレイリスト公開中

配信URL:https://nishina.lnk.to/1999setlist

 

【リリース情報】

■デジタルシングル「ホットミルク」

※ABEMAオリジナルシリーズ『恋愛ドラマな恋がしたい in NEW YORK』ドラマ主題歌

配信日:2022年11月9日(水)

形態:配信限定シングル

MUSIC VIDEO(YouTube):https://youtu.be/zDKY3yeTow4

配信リンク:https://nishina.lnk.to/hotmilk

★ABEMAオリジナルシリーズ『恋愛ドラマな恋がしたい in NEW YORK』

第1話放送URL:https://abema.tv/channels/abema-special/slots/9M7mpww7VvtdtT

 

■LP「1999 − Spotify Analog Edition −」

発売日:2022年12月3日(土)

形態:LP

価格:4500円

品番:WPJL-10176

『レコードの日』 オフィシャルサイト:https://record-day.jp/

収録曲:

-SIDE A-

  1. アイニコイ
  2. FRIDAY KIDS CHINA TOWN
  3. debbie
  4. 東京マーブル
  5. U+
  6. 夜になって

-SIDE B-

  1. ワンルーム
  2. モモ
  3. スローモーション
  4. 青藍遊泳
  5. 1999

BONUS TRACK ホットミルク

 

【公演情報】

■にしな 「1999」限定弾き語りツアー

2023年1月11日(水)鹿児島:キャパルボホール

2023年1月13日(金)名古屋:SPADE BOX

2023年1月16日(月)広島:セカンド・クラッチ

2023年1月18日(水)福岡:BEAT STATION

2023年1月20日(金)高松:DIME

2023年1月23日(月)宮城:仙台Rensa

2023年1月27日(金)高知:X-pt.

2023年1月30日(月)渋谷:PLEASURE PLEASURE

2023年2月3日(金)石川:金沢AZ

2023年2月6日(月)神奈川:Yokohama mint hall

2023年2月10日(金)岡山:YEBISU YA PRO

2023年2月14日(火)兵庫:神戸 太陽と虎

2023年2月16日(木)大阪:梅田Shangri-La

2023年2月20日(月)埼玉:西川口Hearts

2023年2月28日(火)千葉:柏PALOOZA

2023年3月2日(木)新潟:LOTS

2023年3月8日(水)北海道:札幌SOUND CRUE

OPEN:17:00 / START:18:00 (全公演共通・19:30までに終演予定)

料金:

小学生500円(税込550円):2016年4月1日~2010年4月2日生まれ
中学生 1000円(税込1100円):2010年4月1日~2007年4月2日生まれ
高校生 2000円(税込2200円):2007年4月1日~2004年4月2日生まれ ※早生まれ、非学生含む
大学生 3000円(税込3300円):2004年4月1日~1999年1月1日生まれ ※早生まれ、非学生含む

※1999年以降生まれ限定(入場時身分証確認必須)

※整理番号付き

※来場時プレゼント付き

・お一人でのご来場:ステッカー

・友達同士でのご来場:缶バッジ

・恋人同士でのご来場:ラバーバンド

※兄弟姉妹の方はステッカーまたは缶バッジ
※購入者、同行者共に身分証を確認させていただきます。
※保護者同伴不可

<チケット>

  • e+プレオーダー3次先行

受付期間:11月18日(金)12:00〜11月27(日)23:59

https://eplus.jp/nishina1999

 

出演 フェス・イベント情報

■COUNTDOWN JAPAN22/23

日時:2022年12月28日〜31日 ※にしな の出演は、28日となります。

場所:幕張メッセ国際展示場1〜8ホール・イベントホール

https://countdownjapan.jp

プロフィール

新時代、天性の歌声と共に現れた新星、「にしな」。

やさしくも儚く、中毒性のある声。

どこか懐かしく、微睡む様に心地よいメロディーライン。

無邪気にはしゃぎながら、繊細に紡がれる言葉のセンス。

穏やかでありながら、内に潜んだ狂気を感じさせる彼女の音楽は、聴く人々を徹底的に魅了する。

Spotifyがその年に注目する次世代アーティスト応援プログラム「RADAR:Early Noise」に選出。ゆっくりとマイペースにリスナーを虜にしてきた彼女の声と音楽が、静かに、そして、より積極的に世の中へと出会いを求めに動き出す。

最重要ニューカマー、「儚さと狂気」を内包する才能が、ここに現る。

 

関連リンク

・にしなオフィシャルHP:https://nishina247.jp/

・オフィシャルECストア:https://store.plusmember.jp/nishina/

・Music Link:https://nishina.lnk.to/nishina

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