いいにおいのする映画​/金子理江(LADYBABY)、中嶋春陽​(ジュネス☆プリンセス)、ハチスノイトを​ゲストに迎えた Vampilliaによるサウンドトラック​CD発売!

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音楽×映画のコラボ映画祭「MOOSIC LAB」2015年度のグランプリ・観客賞ほか史上初6冠に輝いた『いいにおいのする映画』。照明技師を目指す少女・レイと、謎めいたバンド“Vampillia”の楽曲を手がける青年カイトを巡る、日本のインディーズ映画では珍しいダークファンタジー作品となった本作。酒井麻衣監督と精鋭スタッフたちはモノクロ・パートカラー、スタンダードサイズという低予算を逆手に取ったアイデアで挑み、若き俳優たちのアンサンブル、Vampilliaが手がける音楽の魔法の力を得て、唯一無二の魅力に溢れた力作が誕生。2.6(土)-新宿シネマカリテでの単独レイトショー公開となります。
 この度、公開に伴い、Vampilliaによるオリジナル・サウンドトラックが、全35曲もの大ボリュームで完成いたしました!映画のハイライトで流れる、レイ役・金子理江(LADYBABY)が歌う「Be A Light To The World」や、フューネラルクラシカルバンド、夢中夢のヴォーカリストとしても知られるハチスノイトによる「girl from marz」のほか、さらには委員長役の中嶋春陽(ジュネス☆プリンセス)をヴォーカリストに迎え、新たにレコーディング・再アレンジして生まれ変わった楽曲の数々にも注目です。

■REVIEW(『いいにおいのする映画』劇場用パンフレットより)

謎が謎を呼ぶVampilliaといいにおいのするサウンドトラック
文・西島大介(DJまほうつかい)

 関西出身のブルータル・オーケストラVampilliaが音楽を担当した映画『いいにおいの映画』。音楽×映画のコンペティション「MOOSIC LAB 2015」の一作品として制作されたこの映画のタイトルに含まれる「いいいにおいのする」は映画以前にあった言葉で、「いいにおいのする無料の納涼祭」「いいにおいのする無料のコンサート」などVampillia主催イベントに冠せられていた。映画タイトルにこの言葉が残ったのは音楽への敬意だろう。監督の酒井麻衣は「魔法や夢なんてこの世にないかもしれないと挫けそうになった時に、Vampilliaのライブを観て感動して『もう一度信じよう』と思ってこの映画を作りました」と語っている。

 Vampilliaは不思議なバントだ。音楽的にはエレクトロニカ以降に発生した「ポスト・クラシカル」と呼べそうだが、自らが名乗る「ブルータル」とはデス・メタルの言葉。しかしメタルやハードコアと括るには演劇的。かといってその演劇性がパフォーマンスと呼ぶほどに訓練されている様子もない。儚げで恐ろしげなムードはサーカス小屋の見せ物のようだが、アングラというにはポップで無邪気な印象。
 海外公演を多く経験しながら、地下アイドルとも対バンをし、元・相対性理論の真部脩一を作詞家として招き、戸川純やBiSを起用し歌ものも手掛ける。Clarkや、黒夢、ディズニーやゲーム音楽など、国内外さまざまな音楽家のリミックスやコンピに参加。様々な海外レーベルからリリースしながら国内においての母体はWorld’s End Girlfriendが主催する「Virgin Babylon Records」。

ビョークのリミキサーを手掛けたBen Frostらがエンジニアを担当。レディ・ガガの衣装を手掛けた森川マサノリのブランド「CHRISTIAN DADA」のショーに参加。BOREDOMS元メンバーが在籍。MVに田代まさしが出演。頭に生えたブロッコリーを引っこ抜くパフォーマンスなど、逸話を辿るほどに謎が増す。考えれば考えるほどよくわからない。

しかし、結果的に本作『いいにおいのするサウンドトラック』は、上記のような雑多で謎めいたVampilliaをこれまでになくわかりやすく伝えるアルバムとなっている。映画に彩りを添える劇伴らしい曲もあれば、吉田達也のドラミングが楽しめる曲その名も「吉田達也」があり、映画でも好演を果たしたメンバー「ミッチー」が歌うミュージカル調の歌「モンゴロイド」も聴ける。Vampilliaの定番曲「ice fist」のライブテイク、出演者による朗読やアカペラも収録。映画のクライマックスで奏でられるハチスノイトをヴォーカルに起用した楽曲は、映画的にもアルバム中でも主役的存在感。ミスiD受賞者でLADYBABYのメンバーでもある主演女優の金子理江をフィーチャーした曲は広義にはアイドルソングと言えるかもしれない。

 例えば、ソロやYMO以外にも多様な活動を続ける坂本龍一を知る入門編として、有名なテーマ曲だけでなく唱歌やミニマル、デヴィッド・シルヴィアンによるヴォーカル曲までが収録された実は雑多なサントラ『戦場のメリークリスマス』が相応しいように、この『いいにおいのするサウンドトラック』は、映画を追体験させながら、未知なるリスナーにVampilliaの全ての要素が詰まった入門盤として機能するはず。
 「いいにおいのする映画サウンドトラック」ではなく『いいにおいのするサウンドトラック』というタイトルには、映画劇伴という役割を越えて音楽こそが主役だという心意気も感じる。
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(C)2015 Little Witch Production/MOOSIC LAB
いいにおいのする映画 (Be A Light To The World)
出演:金子理江 吉村界人、Vampillia、中嶋春陽 
監督・脚本:酒井麻衣|音楽・劇中歌:Vampillia|配給・宣伝:SPOTTED PRODUCTIONS
2015|モノクロ・パートカラー|STEREO|スタンダード|73分 ©2015 Little Witch Production / MOOSIC LAB
■公式サイト→iinioi-movie.com 
■予告編→https://youtu.be/OK5AUfb9–Q
2.6(土)-2.19(金)新宿シネマカリテ、以後全国順次公開!
2.6(土)初日舞台挨拶決定!20:20-(上映後)
ゲスト:酒井麻衣監督、金子理江、micci the mistake(Vampillia