台風一過の日曜の夜の渋谷にTHE BEATNIKSがやってきた。
正確にお伝えすると、ニュー・ア ルバム『EXITENTIALIST A XIE XIE』の発売記念トーク・イヴェントのため、タワーレコード渋 谷店 B1F CUTUP STUDIOに高橋幸宏と鈴木慶一が登場したのだ。
この日、ふた りの登場曲となったのは、“シェー・シェー・シェー・DA・DA ・DA・Yeah・Yeah・Yeah・Ya・Ya・Ya”の耳 なじみのない新ヴァージョンで、DE DE MOUSEと佐藤優介(カメラ=万年筆)の両名によってリミック スされたらしい。シリアスさとナンセンスさが絶妙なバランスで混 じり合った原曲を大胆に料理した仕上がりにおふたりともご満悦の 様子だ。
聞けばこの2曲、12インチ・アナログ・ シングルとして、ふたりが出演する< フジオロックフェスティバル2018>の会場でのみ限定リリース されるそうだが、<シェー>のポーズをきめるジャケットのふたり のイラスト(デカパン似の慶一氏、 イヤミ似の幸宏氏というデザイン)がなんともコミカルでかわいら しく、ぜひとも所有したい気持ちに駆られる。
ご存知の方も多いと思うが、“シェー・シェー・シェー・DA・D A・DA・Yeah・Yeah・Yeah・Ya・Ya・Ya”は 赤塚不二夫の生誕80年を記念して開催された2017年の<バカ 田大学音楽祭>に出演するために作られた2曲のうちのひとつであ った。アルバム制作の出発点となった重要曲であるが、作品全体か らいつになく開放感のようなものを感じてしまうのは、赤塚不二夫 イズムを大量注入したこの曲が根幹を成しているからではないかと 思えてならない。
ここで語られたのは、ふたりの赤塚不二夫愛。
「私は毎週連載を読むのを楽しみにしていたよね。<天才バカボン >に左手で書いた号とかあるんですよ。メチャクチャですよね。 意味がないことがおもしろい」(鈴木)
「なんでおでんばっかり食ってんのか、謎なことが多かった。でも 、タモリさんが弔辞で<私もあなたの数多くの作品のひとつです> って言ったのは感動しましたね」(高橋)
ところで今回のレコーディングは、慶一氏によると、5、6時間で 1曲分のベーシックを作るぐらいのペースで進んでいったらしく、 かつてない瞬発力によって作られた作品だということ。
そこで持ち 出されるのが、87年の『EXITENTIALIST A GO GO ビートで行こう』のときのエピソード。伊豆の別荘に機材を持ち込 んで曲をいっぱい作ろうと臨んだものの、 結局1週間で2曲しか完成しなかったというおなじみの話だ。「あ のとき何やってたんだろう」と苦々しく振り返るふたり(主に幸宏 氏は釣り、慶一氏は散歩していたそうだが)。そこで学んだことは 、「海の近くでレコーディングをやっちゃダメってことだね」と慶 一さん。
そこで持ち
続いて『EXITENTIALIST A XIE XIE』のレコ発ライヴとして行われた5月のEX THEATER ROPPONGI公演について振り返る。トークするふたりのバッ クに張られたスクリーンには当日の様子が映し出されており、 ゴンドウトモヒコ、砂原良徳、矢口博康、白根賢一、高桑圭、 堀江博久、永井聖一などの腕利きたちが揃った大所帯バンドであっ たことが伝えられる。
この編成は幸宏氏曰く「生の部分を忠実に再 現するため」だったということだが、実際のところTHE BEATNIKSの世界観をダイナミックに表現してみせたそのア ンサンブルは絶品というほかなく、集まったオーディエンスから大 きな喝采を浴びたものだ。メンバーのなかから話題に取り上げられ たのは、相対性理論の永井聖一。
カントリー・フレイヴァーを湛え たギターもプレイできることに感銘を受けた慶一氏は、「 クラレンス・ホワイトみたいでビックリした」と話していた。
この編成は幸宏氏曰く「生の部分を忠実に再
カントリー・フレイヴァーを湛え
そんななか、この日のライヴが録音されていたということ が伝えられる。詳しく語られたわけではないが、どうやらなんらか の形で商品化されるプランが固まっているようだ( 会場で見かけた映像クルーの話もチラリと)。
「年内にはいろんな ことがわかってくるんじゃないですか?」(高橋) とのことなので、発表を楽しみに待ちたい。
「年内にはいろんな
さらにアイテム情報と して、即日完売となってしまったためにゲットできず、涙を呑んだ 人も多い『EXITENTIALIST A XIE XIE』のアナログ盤だが、どうやら再プレスが決定したそうだ。 で、ジャケットは1987年リリースの2ndアルバム『EXIT ENTIALIST A GO GO』を完コピしたあのデザインとは異なるものになるらしく、こ れまたマニア心を大いにくすぐることになりそうな予感が。
最後に用意されていたのは、観客からふたりへの質問コーナー。い くつか紹介すると、THE BEATNIKSのフェイヴァリット曲は?という質問には、幸宏 氏は“LEFT BANK”(THE BEATNIKS名義ではなく、それぞれのソロ・アルバムにおい て発表)、慶一氏は「むつかしい」とお茶を濁していた。
それから 今回のレコーディングで苦労したことは?という質問の際に出てき た歌詞についてのお話。
幸宏氏は“Speckled Bandages”の歌詞が携帯に送られてきたとき、あまりの辛 い内容にビックリしてしまったのだそう。そしてレコーディングの ときも最初は「これ歌えない……」と慶一氏に伝えたとのこと。
それに対して作者である本人は「いろんなインタヴューでも話して いるけど、THE BEATNIKSのときはとにかく幸宏を驚かそう、という気持ち で作っているので、一行目で驚いてくれたらしめたもんだよ」と話 していたのが印象的だった。
幸宏氏は“Speckled Bandages”の歌詞が携帯に送られてきたとき、あまりの辛
話題がさまざまな方向へと大きく脱線しながらも、このふたりなら ではの不思議な一体感でもって、なぜだか納得せずにはいられない 着地点へと辿りついてしまう。そんな素晴らしい芸当を目の当たり にできたトークショーだった。
8月1、2日に開催される<フジオ ロックフェスティバル2018>、<SUMMER SONIC 2018>の8月18日にBillboad JAPAN Stageで行われるライヴも楽しみでならない。
【リリース情報】
タイトル「THE BEATNIKS REMIX」(ザ・ビートニクス リミックス)
形態:12インチアナログ盤
発売日 : 2018/08/01(水) 発売元:BETTER DAYS (日本コロムビア)
定価 : ¥2,700 税込 [¥2,500税抜] / CEG-8 / POS : 4549767050782
配信:8/1(水)より開始、Spotifyのみ7/25(水) より先行配信
[収録楽曲情報]
A side: シェー・シェー・シェー・DA・DA・DA・Yeah・Yeah ・Yeah・Ya・Ya・Ya (DÉ DÉ MOUSE Remix)
B side: 8-BALL FALL MIX(Yusuke Sato Remix)
商品情報WEB SITE:http://columbia.jp/artist -info/thebeatniks/
【フジオロックフェスティバル 2018】
日時:2018年8月1日(水)、2日(木)
会場:恵比寿ガーデンプレイス(LIVE:ザ・ガーデンホール)
公演内容/出演者:
8月1日(水)
出演:電気グルーヴ、大友良英スペシャルビッグバンド + 芳垣安洋 + 二階堂和美、マキタスポーツ、スチャダラパー
8月2日(木)
THE BEATNIKS(高橋幸宏+鈴木慶一)、矢野顕子、Sweet Robots Against The Machine(テイ・トウワ+砂原良徳+バカリズム)、LEO 今井
チケット価格:
フジオ10年分のおバカ寄席(自由席/税込):昼席なのだ 4,800円/夜席なのだ 4,800円
ボツ10年ライブ(スタンディング/税込):8月1日(水)7, 800円/8月2日(木)7,800円
※全チケット来場特典グッズ付き(オリジナル扇子)。特典グッズ の引き換えはイベント当日に会場にて行います。
フジオロックフェスティバル 2018/公式SITE:https://fujio-bots u10nen.jp/fujiorock
【ライブ情報】
2018年8月2(木)フジオロックフェスティバル 2018@恵比寿ガーデンホール
2018年8月13日(月)Billboard Tokyo 1st Stage Open17:30 Start18:30/2nd Stage Open20:30 Start21:30
2018年8月18日(土)SUMMER SONIC Billboard JAPAN Stage
2018年8月23日(木) Billboard Osaka 1st Stage Open17:30 Start18:30/2nd Stage Open 20:30 Start 21:30
THE BEATNIKS OFFICAL WEB SITE :http://www.thebeatniks.jp
ARTIST LABEL OFFICIAL WEB SITE:http://columbia.jp/thebea tniks/