ユキヤナギが咲いた日。自身を更新し続けるBiSHを見た 『BRiNG iCiNG SHiT HORSE TOUR FiNAL “THE NUDE”』ライブレポート


「私、毎年今年の漢字を決めているんですよ。2016年が“種”、2017年が“芽”だとしたら、今年は“咲”かなと思ったんです」そう話していたのは、BiSHのメガネ担当ハシヤス・メアツコである。たしかに今年のBiSHは今までの栄養や水が功を奏し、花を咲かせた年だった。『PAiNT it BLACK』によるオリコン1位獲得、横浜アリーナワンマン即完、『第60回 輝く! 日本レコード大賞』での新人賞受賞など、功績を並べただけでも華々しい。
12月22日(土)に幕張メッセで行われた『BRiNG iCiNG SHiT HORSE TOUR FiNAL “THE NUDE”』は、そんな彼女たちの1年を盛大に締めくくる夜となった。

照明が落ちると雷が轟き、スクリーンに映像が流される。磔にされてるBiSHが映し出され、そこから解き放たれたという設定でメンバーはステージに現れた。オープニングを飾ったのは、最新楽曲である「stereo future」だ。最初はエンドステージにいた6人だが、サビのタイミングでセンターステージまで猛ダッシュ。声の出方や踊りのキレなど、1曲目とは思えないステージングに会場がグッと前のめりになる。常にがむしゃらで懸命で、それこそがBiSHなのだと出だしから叩きつけられた。

続いて披露されたのはアンセムソングとしても名高い「BiSH-星が瞬く夜に-」だ。さきほどまでシリアスな表情はキラキラの笑顔に変わり、会場をさらに盛り上げる。モモコグミカンパニーが「ついてこいよー!」と観客を煽り、アイナ・ジ・エンドは「BiSHが幕張に来たぞ!」と力強く宣言した。シャウトが幕張メッセに響いた「SHARR」、ミラーボールに合わせて会場も踊る「DEADMAN」と熱いライブが展開される。しっとりした曲で会場に歌声を敷き詰めたのは「スパーク」だ。アイコンタクトをとりながら柔らかい声で歌うメンバーの姿は本当に楽しそうで、見ているほうまでその空気が伝染してきた。<今しか走りだせない 待ってなんかいられない>というリリックが鮮明に描かれていたのは、まさしく彼女たちがその心境の渦中にいるからだろう。

自己紹介を挟み、モモコの「その調子で顎、外していこうぜ!」という言葉に導かれ始まったのは、「S・H・i・T」だ。サビでは会場が口をポカンと開き、クラップを刻む。他の現場では目にしないような奇妙な光景にお目にかかれるのも、BiSHのライブならではだ。アイナの手掛ける振付は見ていると胸踊らされ、参加するとなお楽しい。小学生にも満たないような少女が真似をしている姿も見受けられ、彼女たちが展開しているエンターテイメントに年齢が関係ないことを感じさせられる。「HiDE the BLUE」ではリンリンのソロダンスが炸裂し、「本当本気」ではアユニ・Dの繊細かつも芯のあるボーカルが会場の色をガラッと変えた。リンリンとアユニの振付により、ドラマのような世界観を見せたのは「Life is beautiful」である。音楽の展開に合わせて表情を変える2人に魅せられ、思わず涙腺が熱くなった。

全身全霊・誠心誠意なパフォーマンスは妥協されることなく続いていく。センターステージに筒状の紗幕が降ろされ、プロジェクションマッピングがメンバーをいろどったのは「My landscape」である。彼女たちが舞うたびに、手のひらから魔法があふれ出ているような演出に思わずため息がもれた。




その後も、「FOR HiM」や「PAiNT it BLACK」、「サラバかな」と熱いナンバーが続く。聴かせるBiSHを改めて実感したのは、モモコが作詞を手掛けた「JAM」だ。今に曲を刻むように、目の前のひとりひとりに訴えかけるように歌う6人。<自分の価値どこにあるのだろう 探していた 握りしめ 苦しめていた>リアルな苦悩や踏み出しを真っすぐ人の心に突き刺すことができるのは、彼女たちがその感情を感じたことがあるからだろう。教室の中心にいる人気ものをそっと羨ましく思っていた少女たちだからこそ、提示できる希望の光が間違いなくそこにはあった。

MCでセントチヒロ・チッチは「あなたたちの笑顔が全面にあった楽しい。歌を真剣にやってきたからこその結果だと思います」と語った。この光景をメンバー全員で噛みしめているのかと思いきや、アツコは「幕張といえば、コントでしょ!」とスタンドマイクを前にどうにかコントを始めようとする。「コントを頑張らないと、BiSHの未来はないよ!」と続け、発表されたのは来春からの『LiFE is COMEDY TOUR』。本当だか冗談だかわからない情報解禁に会場はざわついたが、エンドロールでそれが真実であることを表明した。
また、アイナに「私たちは音楽がやりたくてBiSHやってるんだよ! あっちゃんは歌手なの」と言われ、「真剣に歌っていく!」と宣言するアツコ。その後には、所属事務所WAC代表である渡辺に「来年、私はソロデビューできますか!」と声をかける。スクリーンには渡辺が映し出され、その頭上には両手で大きな円が描かれた。アツコのソロデビュー決定に、盛大な拍手が会場を包んだ。

さきほどのMCが嘘のように、一気にアーティストの表情を魅せたのはミュージックステーションに初登場した際に披露した「プロミスザスター」。思い入れのある曲に、コールをする清掃員の声も自然と熱を増す。メンバー、ファン一体となって、胸にあてられた拳が握っていたものは、一緒に“あの空を染め”ていこうという強い決意だったのではないだろうか。
ラストスパートに差し掛かっても、その勢いは衰えることがない。リンリンのシャウトが耳に突き刺す「GiANT KiLLERS」、会場中がモッシュに揺れた「MONSTERS」と続く。歓声が響いたのは、POPチューンの「DA DANCE!!」だ。長らく愛されてきダンスソングの登場に会場は多いに沸き、完璧なコールが幕張メッセを斡旋した。

「SMACK baby SMACK」ではアイナの歌唱力がいかんなく発揮され、「beautifulさ」では優しい視線がBiSHから客席に降り注がれた。観客のひとりひとりに目線を落とし、嬉しそうに目を細めるメンバーの姿に見ているほうまで胸が熱くなる。チッチの「悔しいこともあるけど、今日みたいな日があるから生きていてよかったと思います」という言葉が嘘でないことを、その瞳がなにより物語っていた。ラストを飾ったのは、エモーショナルな「BUDOKANかもしくはTAMANEGI」だ。こういうテイストの曲はサビをメンバー全員のユニゾンで歌うのが一般的だろうが、BiSHはひとりで1フレーズをまるっと任される。曲に歌が負けることなく聴いていて心地いいのは、歌にプライドを持ち、歌と真剣に向き合ってきた彼女たちだからこそできる業だろう。最高のパフォーマンスを魅せつけ本編を締めくくった。

メンバーがステージから姿を消したあとも拍手はなり続き、スマホのライトが照明を照らす。その光に導かれるかのように、BiSHの6人は再び舞い戻った。チッチが「それぞれの場所へ帰っても、空のもとでは繋がってるから」とコールし始まったのは代表曲の「オーケストラ」だ。掲げられた各々の小指は見えない糸で繋がれているようで、清掃員とBiSHの絆が強固であることを映し出していた。緩急で魅せる「ALL YOU NEED IS LOVE」、サビの大合唱が幕張メッセを揺らした「NON TiE-UP」と全24曲を全力でやり切り人々の記憶に爪痕を残したのだった。

2015年3月11日、BiSHの初期メンバー5人が決定した。彼女たちは急速な成長を遂げ、4年も経たずに幕張メッセを埋め尽くしてしまった。ライブハウスで地道にライブしていた時代から知っている人は、この躍進を予測できただろうか。誰も予測できずとも、この未来は決まっていたのかもしれない。きっとこの日の大成功だって、懸命にひたむきに真っすぐに、音楽やBiSHというグループと向き合ってきた結果にすぎないのだ。3月11日の誕生花のひとつに、ユキヤナギという白い花がある。花言葉は「愛嬌」「一生懸命」「殊勝」。真っ白な思いを持った6人のヒロインが、さらなる大輪を輝かせる日も遠くはないだろう。

Text:坂井彩花


BiSH BRiNG iCiNG SHiT HORSE TOUR FiNAL “THE NUDE”
幕張メッセ9・10・11ホール

OPENiNG
1. stereo future(with Strings)
2. BiSH-星が瞬く夜に-
3. SHARR
4. DEADMAN
5. スパーク
6. S・H・i・T
7. HiDE the BLUE
8. 本当本気
9. Life is beautiful
10. My landscape(with Strings)
11. FOR HiM
12. PAiNT it BLACK
13. サラバかな
14. JAM
コント
15. プロミスザスター(with Strings)
16. GiANT KiLLERS(with Strings)
17. MONSTERS
18. DA DANCE!!
19. SMACK baby SMACK
20. beautifulさ
21. BUDOKANかもしくはTAMANEGI
アンコール
22. オーケストラ(with Strings)
23. ALL YOU NEED IS LOVE
24. NON-TiE UP(with Strings)

<ツアースケジュール>
■公演タイトル
LiFE is COMEDY TOUR
■公演日程
2019年4月5日(金) 神奈川 CLUB CITTA’
2019年4月12日(金) 愛知 Zepp Nagoya
2019年4月13日(土) 愛知 Zepp Nagoya
2019年4月20日(土) 沖縄 ミュージックタウン音市場
2019年4月23日(火) 東京 Zepp Tokyo
2019年5月3日(金) 熊本 Be.9 V1
2019年5月5日(日) 大阪 Zepp Osaka Bayside
2019年5月6日(月・祝) 大阪 Zepp Osaka Bayside
2019年5月11日(土) 北海道 Zepp Sapporo
2019年5月17日(金) 福岡 Zepp Fukuoka
2019年5月18日(土) 福岡 Zepp Fukuoka
2019年5月25日(土) 宮城 仙台PIT
2019年5月26日(日) 宮城 仙台PIT
2019年6月1日(土) 富山 クロスランドおやべ
2019年6月15日(土) 愛媛 松山市総合コミュニティセンター
2019年6月16日(日) 香川 高松festhalle
2019年6月22日(土) 広島 BLUE LIVE
2019年6月23日(日) 広島 BLUE LIVE
2019年6月30日(日) 新潟 新潟LOTS
2019年7月2日(火) 東京 Zepp Tokyo
2019年7月3日(水) 東京 Zepp Tokyo

■チケット料金
スタンディング ¥4,800 (税込・ドリンク別)
指定席 ¥5,800 (税込・ドリンク別)
※スタンディングチケットの未就学児童入場不可

◆BiSHファンクラブ先着先行
12/23(日)18:00 〜 12/24(月・祝)18:00
◆BiSHファンクラブ抽選先行
12/25(火) 18:00 〜 2019年1/8(火)23:00
◆WACK FAMiLY CLUB先行
1/9(水)18:00 〜 1/15(火)23:00
◆HP抽選先行
1/16(水)18:00 〜 1/22(火)23:00
◆統一PG先行
1/23(水)18:00 〜 1/29(火)23:00
◆各地エリア先行 
1/30(水)以降
◆チケット一般発売日
2019年2月23日(土)AM10:00〜

BiSH Official HP : http://www.bish.tokyo
BiSH Official Twitter : https://twitter.com/bishidol