A9 -ASIA TOUR 2019 in 台北 – ライブ潜入レポート 「また必ず帰ってきます。 謝謝台北、我愛你!」


バンド結成15周年イヤーに突入したA9 (エーナイン)。3年ぶりとなるアジア・ツアーの第1弾、台湾の2都市(台中・台北)2公演を取材させてもらった。
2019年最初のワンマンライブが、3年ぶりの海外公演ということになる。
1月19日(土)に台中、翌1月20日(日)が台北でのライブだ。今回のレポートではこのアジアツアー・台湾編のDAY2、台北「花樣Hana展演空間」でのライブの模様を中心にお届けする。

海外での数年ぶりのライブということで、普段では目にする機会のあまりないバックヤードの模様を、会場入りからリハーサル、楽屋、ライブ本番に至るまでを余すところなく密着、潜入させてもらった。
そこから見えてきたのは、海外公演における我々の予想を遙かに超えた難しさと、そこに正面から挑むアーティストと制作のプロ達の姿だった。

AM 11:30。
会場入りができる最速時刻に先発組として到着したのは、日本のライブ制作チームと、虎そしてヒロト。その約90分後、ほんの一瞬ホテルで仮眠を取った残りのメンバー達もリハーサルのため合流した。が、ここで日本ではまず起こりえない事態が起こっていた。会場に設置された全てのアンプが壊れていて、全く音が出せないという。つまりリハーサルもとより、ライブそのものが出来ない状態―。

会場スタッフ、現地イベンター、日・中コーディネーター、A9ライブ制作チーム、そしてメンバーとの切迫したやりとりが行われる。「大至急、遅くとも2時間以内に近くのハコから使えるアンプを集めて欲しい。時間がない。」「現状、やれることから先にやっておく」。皆、努めて冷静に話しているが、予想を遙かに超える深刻な事態。

将「とにかく音を出せる状態さえ作ってくれたら、あとは自分らが最高のライブをやりますので」。
その言葉で腹を括ったかのように、現地スタッフ陣が一斉に必要機材の手配に動き出した。早いファンはもう会場の周りに集まりだしていた。

あとはスタッフを信じて、できることを先にしながら機材の到着を待つのみ。そんな状況だった。
緊迫した空気を少しづつ和らげたのは、楽屋に次々と届くファンからのタピオカ・ミルクティーはじめ地元のお花やお菓子の差し入れ、プレゼントや手紙の数々。

気持ちを落ち着かせるためか、ヒロトがメモ紙を見ながら中国語でのMCの練習を始めた。「×××、×××」(←中国語)こっそりメモを覗くと、カタカナ読みに併記され「親愛なる台湾九組の皆さん、3年ぶん愛し合いましょう」と書いてある。
リハが開始できないので、楽屋でシャカシャカとギターを奏でる虎。ベースを抱えたまま、神妙な眼差しでPCとスマホを交互にチェックする沙我。
将とNaoは機材=リハを待つ間にメイクを始めた。


虎が昨年末に病に伏したことを日・中両国のコーディネーターが気にかけてくれているようで、「いざというときには、AEDの準備もありますからね!」とのこと。
「ウフフッ」と微妙な顔でほほ笑む虎。「それより壊れてないアンプ準備しとけ」と言いたげにも見えた。
その会話に、数秒遅れてピクっと反応したのは沙我。
「オレ、その(AED)使い方の講習受けたことありますよ。」かなり自信ありげに目を輝かせた。それを鏡越しに見ていた将がつぶやく。
「でもそれを使う状況って、いよいよヤバい時なんじゃないですかね?」
―― 確かに。

PM 15:30
Naoがタピオカの大きさや食感が商品ごとに違うことに感嘆し、ヒロトがちょうど「イチャイチャする、って台湾では何て言うんですか?」と通訳の人に質問したその時だった。使えるマーシャル・アンプが会場に届いたと一報が入る。リハ開始予定時刻を約1時間半オーバーしていたので、メンバー達は速攻でステージに向かい、即、音出しが始まる。
ケータリング(食事)もほぼ同時に届いたが、メンバー達は「食事どころじゃない」といった感じだ。
扉1枚向こうには、すでに物販列に並ぶファンがフロアにぎっしりといるなか、入念なサウンドチェックとリハーサルが粛々と進行していった。

PM 16:45
掛け足ながらもリハーサルはどうにか無事に終了。メンバーと制作クルーにも僅かな安堵がようやく見てとれた。しかし開演までもうあまり時間がなく、現地のメディアの取材もあり、楽屋は開演直前まで慌ただしかった。

台湾でのライブが新衣装のお披露目でもあったため、ファンはきっと楽しみにしているに違いない。だが同時に海外公演にスタイリストの同行は難しいため、メンバー達もまだ着慣れぬ新衣装を慎重に確認しながら着用していき、同時にイヤモニも複雑な衣装のなかを通してセットしていく。アクセサリー類の装着も普段よりもスタッフの手が足りず、やや苦戦しているようだ。
ヒロト曰く、アクセサリー類は特に激しいステージングをするといつの間にかはずれたり壊れたりすることがあり、それに気づかないことも少なくないらしい。昨日の台中でのライブでも、いつの間にか外れてステージに落ちていたらしい。

将が新衣装を無事着終えたようで、鏡の前で気合のこもった表情で入念に着心地、動き心地をチェックしていた。
すると、その鏡の中にフルメイクを施した沙我がフッとフェードインしてきた。上半身の衣装は某執事のようにバッチリ決まっている。だが下半身の詳細は書けない。
「将さん。たぶんそれ、俺のっす」―。
将がなんの違和感も感じずに穿いていた衣装は、どうやら沙我の衣装の一部だったようだ。
将と沙我は体型がほぼ同一―。台湾での意外な発見だった。

PM 18:06
開演。登場SE曲「PLANET NINE -INVITATION-」にのせ、この日はステージ背後に設置された大きなLEDにVJ映像やメンバーのアップ画像が順に映し出され、フロアからはそのたびに大きな歓声があがる。
その歓声がひときわ大きくなると同時に、メンバーが一人づつ姿を現した。
最初に現れたのはヒロト。次に虎、そしてNao、沙我と続く。それぞれセンターのお立ち台に一瞬上がり、おのおのファンに向けてアピール。最後に将が登場すると、場内はSE音量以上の大歓声に呑み込まれた。SE終了と同時にメンバーのシルエットがくっきりと浮かび、眩いバックライト、そしてステージのLEDビジョンには「A9 LIVE TOUR in Taipei 」「High! 起来!!」の文字が大きく映し出された。

大歓声の鳴りやまぬまま、1曲目の「UNREAL」が始まり、3年ぶりの台北ライブが幕を開けた。歌い演奏するメンバー達の後ろに「UNREAL」のMUSIC VIDEOも流れている。
昨年リリースされた最新アルバムの収録曲で、じつに3年ぶりの台北ライブだが、そうとはとても思えないほどの盛り上がりと一体感で、1曲目から会場を大きく揺らしている。
間髪入れず、続くは「RAINBOWS」。昨日の台中ライブと同様、新旧織り交ぜたセットリストだが、一糸乱れぬフロアのうねり、盛り上がりをみていると、後に沙我が言ったように、ここが海外ではなく日本にいるかのような錯覚さえおぼえる。




曲が終わり、将がこの日の初MC。
「台北、3年ぶりに帰ってきました!」
「おかえりー!」という声が会場のいたるところから返ってきた。.
「ただいま。今日もみんなと幸せな時間を過ごしたいと思ってるんで、最後までついてきて下さい。今日は、きのうよりさらに盛り上がっていけますか! この曲で大きな声を聞かせてください!」と締め、「華」へと流れ込んだ。
イントロでの将のヘドバンに合わせフロア全体ヘドバンの嵐に。続く「閃光」が終わると
今度はメンバーの静かな演奏にのせて将が話す。
「台北のみなさん、楽しんでますか? きのうの台中では僕がお花をプレゼントしたんですけども、今日は、この花が一番似合うこの人に、プレゼントしてもらいましょう」と真紅のバラの花を一輪、沙我へ渡す。沙我が受け取ったそのバラの花を口に銜えると、悲鳴にも似た歓声があがった。沙我はすっと後ろを向くと、赤いバラの花を、無数のファンの手が広がる客席フロアに向けて、高く、遠くに向け投げ込んだ。そのバラが大きく弧を描くようにフロア上空に舞い上がり、そして無数に伸びたファンの手の中に吸い込まれる。
将がNaoに向かい「それじゃあ、いってみましょうか。『造花の代償』」。

「造花の代償」、「Kiss twice,Kiss me deadly」が続けて披露される。

計6曲が終わったところで、再びMCタイム。
将「台北に住んでる人?」右手を小さく挙げてファンに質問すると、「はーい」と会場の6~7割程の人が手をあげる。
将「おー、いっぱい。Many people。ありがとう」と、嬉しそうな将とメンバーたち。
将がステージのメンバー全員をゆっくりと見まわして、「沙我さん、振ってもいいですか?」と沙我を指名する。
沙我は少しハッとした様子ながら、小さく頷くと、マイクに向かい「Yes。」
続けて、「Oh…Taiwan…。Beautiful Girl.…many…」
将「沙我さん、どうして英語ですか?」
沙我「ちょっとまだ、、。台湾語なのか、英語なのか、(頭を指して)混ざっちゃってて」
将「あぁ。そうですね。香港はけっこう英語ですけどね」
沙我「あと、日本の方と、台湾の方と、パッと見ではわからない。リアクションもすごく(日本のファンと)似てて。かわいらしい。」
将「(頷きながら)ほんと。かわいらしい。」
沙我「でもきのう、VIP(チケット特典イベント)のとき、『謝謝(シェーシェー)』って
言ったら、『日本人だよ!?』って言われて…」
少し自信を失ったらしい。
沙我「でもね、3年ぶりだよ? 虎さんもその間どんどん痩せて。台湾に来て、さらに痩せて」
将「虎さん、さらに痩せたの?」
虎「ちょっとだけ。(ファンに向かい)『ちょっとだけ』ってなんて言うの?」ファンが口々に虎に発音を教えている。
虎「ペーペーペー??」だいぶ違うのか、場内に笑いが起きる。
将「みんな先生ですね。教えてくれて。」
虎「ご飯は食べてないから。でもさっきガマンできなくて、タピオカ・ミルクティー、いただいちゃいました~!」
「おぉ~!」と、ファンそしてメンバー達も虎に向かって嬉しそうに拍手をおくっている。
将「でも知ってました? タピオカは澱粉(でんぷん)だから、少し太りますよ?」
虎「……。このまま盛り上がって、澱粉燃やしていくぞ~!」
将「タピオカ、燃やしていくぞ! Next Song is 『ヴェルヴェット』!」

大きなステージビジョンには「A IX」の文字が浮かび、続く「春夏秋冬」とともにファンの振り上げた手が会場温度を一気に上昇させる。


「春夏秋冬」が終わると、将は会場中を見渡し、静かに言った。
「台湾の人たちは、本当に早くから、アリスナインのことを、僕たちのことを見つけてくれて、応援してくれて、感謝しています。本当にありがとう。」会場中から大きな拍手が聞こえた。
将「今日もヒロトがね、気持ちをたくさん伝えるために、、メモを作ってきましたか?」
 ヒロトは将に向かい、力強くグッと親指を立てる。

ヒロトのこの日の初MC。「ニーハオ。」フロアから歓声があがる。
続けて何かを身振り手振りで言おうとしたが、すぐに動きが止まり、瞳孔も開いている。続く言葉を忘れたようで、足元にあったメモ(といってもA4サイズ)をすっと取り上げた。
「がんばってー!」という声があちこちから聞こえる。卒業証書を壇上で受け取る我が子を皆で温かく見守っているかのような光景だ。

ヒロト「×××、×××(←親愛なる、台湾の九組の皆へ)」
滝のようなヒロトの汗に気づいた将が、そっとヒロトの顔の汗を自分のタオルで拭うと、
悲鳴のような歓声があがる。
ヒロト「なにが優しいってね、このタオルの当て方? そっ…と触れるような。LM.C.のアイジ兄さんも前に言ってました。『ヒロト、なぜアリスが10年以上続いているかといえば、ボーカルが将だからだぞ』と」
ヒロトが続ける「じゃあ続きいきます。×××、×××。……合ってる??
ああっ、通じないこれ! もう一度! ×××、××××。(←今夜キミたちとイチャイチャできて幸せです)」フロアの一部から「キャー!!」という声が響く。
ヒロト「いやぁ、よかった。この『イチャイチャ』のニュアンスを台湾の通訳さんに伝えるのに1時間くらいかかりました。 フィジカルでもイチャイチャしたいですけど、今日は音でイチャイチャしましょう!」歓声で応える台湾のファン。

ここで終わるかと思ったが、ヒロトはこの日に起こっていた出来事にも触れた。
「このステージを作ってくれてる台湾のスタッフの方、日本から来てくれてる方のおかげで、今日のライブもどうにかやれてるんです。今日、この会場に来た時にはすべてのアンプがブッ壊れてたんです。音が出せなくて、今日ライブが出来ないんじゃないかって。本当に。でも超全力で、みんなが本気で動いてくれて、なんとかやれてるんです。」
「あとは5人が全力で音を届けてみんなとイチャイチャできれば、今日は最高のライブになると思うんで暴れていきましょう!!」
ヒロトはこう締めくくり、会場中から大きな歓声と拍手が沸き起こった。

将「今度出すベストアルバムの中から、沙我さんが今日のためにコーラスを練習してきてくれました。沙我くんのコーラスとともに聴いて下さい。『FANTASY』―」

この日は昨日の台中ライブと一部異なり、「FANTASY」→「ASYLUM」→「Daybreak」と続いた。
後に沙我は自身のSNSでこの日のこの流れについて、「今日演奏した『Daybreak』は個人的には今までで最高の『Daybreak』。『ASYLUM』の雨から『Daybreak』の切り替わりも良かったし、フロアの子達の笑顔が素晴らしすぎたね」と呟いている。

「Daybreak」終了後、将も「とっても気持ちよく、すごく楽しいです。皆さんありがとうございます」と笑顔を見せていた。
将「今日はまだ、いちばんカワイイNaoさんの声が聞けてないですね。」とNaoに体を向けると、フロアからも「Nao~!」の声が高まる。Naoがマイクを手に持ち立ち上がる。
Nao「まず言いたいことね。3年ぶりの台湾で、3年ぶりの『50嵐』(←タピオカミルクティー屋さん)だぜー!!」とお気に入りのタピオカミルクティーを高々と掲げるNao。

その後、ヒロトと通訳さんとのグッズ紹介コーナーを挟み、いよいよライブも終盤へ。

将「そんな感じで、ここからも楽しいモードでいきましょう。『フィックス・ユー』―。」

「F+IX=YOU」が終わりに近づくと、将以外の4人が楽器を置いてステージのセンター付近に徐々に集まってきた。ファンもこの流れに気づき、何処からともなくペンライトやGALAXY STICK(グッズ)の光が灯りだす。

そして、「CASTLE OF THE NINE」が前日の台中に続き、台北九組の前でも解禁となった。
5人が海を越え、国を越ても全力のダンス&ボーカルを披露すると、フロアのノリは完全に
日本でのライブそのもの。すでにバッチリ予習してマスター済み、といった印象で、ステージ・フロアともに「圧巻」の一言だった。

カオスモードはまだ続く。Naoがステージセンターのお立ち台に立つと、ヒロトがギターを置いてドラムへ。ヒロトの上手ポジションには沙我が来てフロアを煽っている。
「UNDEAD PARTY」の始まりの合図だ。
Nao「オレの心はいま、爆発しそうだ。バウファ?(バウファ!のレス)バウファ!?
(バウファ!)バウファ! ファファファファファッ、ヒロト!、バウファ―!! 」
ヒロトがドラムをドコドコと叩きまくりNaoとフロアを煽り返して曲に突入した。

途中ヒロトは上手に戻り、ギターを手にするとステージを勢いよく降りてフロアに乱入。広いフロアの最後列まで行きぐるり一周して虎のいる下手からステージに帰還する。


将の「台北、アタマ飛ばしてってください」を合図に「MEMENTO」へ。
カオスパート締めにピッタリのナンバーでフロアは再びヘドバンの嵐。

「MEMENTO」を終えて、
将「最高だね。みんな。楽しい?」(「楽しい!!」と沢山の声が戻る)
「3年間アリスナインが会いに来れなくて寂しかった?」(「寂しかった!」とフロア中から)
「そんな声を聞くとね、もっともっと台湾の皆に会いに来なきゃなって本当に思います。
どうもありがとう。」大きな拍手と「来てくれてありがとう!」という声が響き渡る。
キラキラした笑顔のファン、タオルで汗や涙を拭きながら、一瞬たりともステージから目を離さない沢山のファンの姿が印象的だった。それはステージからファンを真正面に見ていたメンバー達こそ胸にくるものがとても多かったに違いない。

将「また帰って来れるまで、この幸せな気持ちがずっと続くように。そんな思いを込めて用意してきました。この曲を最後にプレゼントします。 『すべてへ』―」

虎、沙我、ヒロトは曲の途中、将のいるステージセンターに集まり、4人そして後ろから見守るNaoも、最高の笑顔で3年ぶりに帰ってきた喜びと感謝を、会場中のファンに伝えていた。
「ずっと傍にいるよ」――。
それが彼らの想いの全てであり、今日ここに集まった人たちへの約束なのだろう。

[ENCORE]

前日、台中ライブの物販エリア横のテーブルに、メンバー5人が描かれたその素敵な布クロスは置かれていた。深紅なオリエンタルな色調で縦50センチ、横幅は約2メートル程あったかと思う。中国語、そして日本後でも「サインをどうぞ」と書かれており、金色と銀色のサインペンまで数本用意されていた。現地のファンが作ってくれた物のようで、会場に到着したファンは次々にペンを取り、思い思いにA9やメンバー個人へあてたメッセージを書き込んでいた。
 
 翌20日の台北公演の楽屋にそのクロスは届けられ、メンバー全員感動している。
この日の台北ライブのアンコールに、それを持ったメンバー達がステージに現れた。

将「これ、みんなが作ってくれたの?」「素敵すぎて、スタッフさんが用意したのかと思っちゃいました。すごいですね、嬉しい。」感動する将の体に、それをクルクルと巻きつけるNao。リアクションに困っている将とフロアのファンを察して、またクルクルと自分も回りながらクロスを全開に戻す。そしてちょうどドラム台のフロントに飾れるサイズだと気づき、さっそく飾り付ける。
将「でもこれNaoさんの目が実物より大きいですね。こう見えてるってことですね。」
Nao「謝謝!」と言って嬉しそうにドラムをドコドコ鳴らしている。

将「今回、台湾のみんなもいっぱい待っていてくれて。そして前に来た時よりも日本からもいっぱい旅行で来てくれて、嬉しいです、ありがとう。」
力強く続ける。「音楽がみんなを繋いで、仲良くしてくれている感じがして嬉しいです。これからもA9としてみんなを結んでいきたいというか、みんなが一緒に笑えるような手助けができたらいいなって思っています。ついてきてくれますか?
アンコール、この曲で一緒にジャンプして盛り上がりましょう!『SHINING』―」

ヒロトが下手の虎のところに走り寄り、ギターふたりアイコンタクトしながら楽しそうに演奏している。
続く「G3」。将の「暴れていこうぜ台北!」「行進しましょう」の言葉に呼応してメンバー4人、フロアのファン全員で左右に行進。その後、最後のひと暴れ、とばかりにまず将が客フロアに降りてぐるりと会場を周遊。当然ながらもみくちゃになっている。続いて沙我がベースを弾きながら客フロアに悠々と乱入。フロア後方で両手を大きく拡げると10数人のファンをまとめてハグしている。気づけばステージにはNaoと虎しかおらず、アンコールもいつの間にかカオスな状態になっている。だがフロアのファンは目の前を、すぐ真横をメンバーが歌いながら、演奏しながら飄々と歩いているので本当に嬉しそうだった。

「Heart of Gold」を歌い終え、将はこの日最後のMCをとる。
「3年ぶりになっちゃったけどね、今日はホントにどうもありがとう。本当にずっと会いたかったです。バンド、人生、、、人が生きていると、いろんな壁だったり、苦難が待ち受けています。それは僕たちも例外ではありませんでした。虎も体を壊して、でも復活して、こうやって台湾のみんなに会いに来れました。人間生きていると何があるか分からないけど、僕たちの心は今ちゃんとここ台湾にあるし、この想いを持って、また必ず会いに来るからね。我愛你、台北。次の曲が最後になってしまうけど、心を開いて受け止めてください。
最後の曲です『the beautiful name』―」


最後の最後まで、全力で想いを届けんとする5人のメンバーに、フロアを埋め尽くす台湾のファンも最後まで、精一杯の声をメンバー達へ送っていた。
失くしたカケラを埋め合わすように―。

「謝謝台北、我愛你!」将がステージを去る。そしてギターを高々と掲げた虎も、「やりきった」といった笑顔でフロア後方のファンにも手を振りステージを去った。Naoも楽しそうに何本ものドラムスティックをフロアに投げ入れてステージをおりる。
沙我とヒロトは、メンバー全員のステージドリンクをフロア後方のファンに向けて慎重に投げている。やがて沙我はステージセンターのお立ち台に立つと、一瞬の静寂の後、生声で「我愛你ー!!!」と両腕をYの字に広げて叫ぶ。その声は会場のいちばん後ろまで届いていた。そしてステージを降りる。
最後に残ったヒロトは、すでに全力以上を出し切った様子で足元がふらついている。それでもどうにかセンターのお立ち台に立つと、両腕で自身を抱きかかえるような姿勢で深々と長い時間頭を下げた。やがてゆっくり体を起こすと、沙我と同じくマイクを通さず、
「愛してるぞー!!!」
力強い声が会場中に響き渡った。

大歓声のなかステージを去るヒロトの背後のビジョンに「Thank you Taiwan! See you next time! 謝謝!!」と映し出され、大きな歓声と拍手がフロアに明かりが灯った後も数分間続いていた。

将がこの日、危機的状況下で宣言したとおり「最高のライブ」であったことは、終演後のファンの無数の笑顔と涙がしっかり物語り証明していた。

確定している海外でのライブ(アジアツアー)は残り2公演。 2月17日(日)香港、3月9日(土)の上海だ。台湾でのライブに密着して、香港、上海ライブの取材も行うことを決めた。初めて異国の地で観たA9のライブは、それくらい楽しく、険しく、感動的だった。

Photo: MADOKA SANO
Text : HIDEYUKI KIMURA (DE COLUM)

2019.1.20 TAIPEI
1.UNREAL
2.RAINBOWS
3.華
4.閃光
5.造花の代償
6.Kiss twice,Kiss me deadly
7.ヴェルヴェット
8.春夏秋冬
9.FANTASY
10.ASYLUM
11.Daybreak
12.F+IX=YOU
13.CASTLE OF THE NINE
14.UNDEAD PARTY
15.MEMENTO
16.すべてへ
ENCORE
1.SHINING
2.G3
3.Heart of Gold
4.the beautiful name

▼LIVE情報
●アジア・ツアー情報
【 A9 – ASIA TOUR 2019 #01 – 】
●【香港公演】
「A9 Asia Tour 2019 in Hong Kong」
 公演日:2019年2月17日 (日)
 開場:18:00 (17:30~整列 整理番号による入場)
 開演:19:00
 会場:九龍灣國際展貿中心Music Zone
 アクセス:G/F, E-Max, 1 Trademart Drive, Hong Kong
 チケット購入:嘆音樂官方票務
 チケット購入リンク:http://www.exclamusic.com/shop/
 チケット料金:
 V I Pパス HK$380 【THANK YOU SOLD OUT!】
 一 般 HK$580(前売) / HK$680(当日) NOW ON SALE.
  主催:嘆音樂
 企画・制作:NEXT DECADE Inc. / NEXTROAD
 協力:交文エージェンシー
 後援:ぴあグローバルエンタテインメント

●【上海公演】
「A9 Asia Tour 2019 in SHANGHAI」
公演日:2019年 3月9日(土)
開場:18:00 開演:19:00  
会場:バンダイナムコ上海文化センター – 未来劇場
チケット料金:
VIP RMB580元(前売)/ RMB66O元(当日)【THANK YOU SOLD OUT!】
一般 RMB300元(前売)/ RMB380元(当日)NOW ON SALE.
撮影会(6shot)チケット料金:RMB150元 
※ライブチケット購入済の方のみ購入可
チケット購入:楽童音楽 &MORE
チケット購入リンク:https://www.musikid.com/new/station/25679
※スタンディングのみ。当日整理番号順で入場。
※海外/日本からのチケット購入可能。
主催:上海星在文化传播有限公司
企画&制作:上海星在文化传播有限公司/ NEXT DECADE/ NEXTROAD
協力:交文エージェンシー
公式Weibo: http://weibo.com/QSW179
 https://weibo.com/staratsh
公演・チケットに関するお問い合わせ:info@startsh.com.cn(日本語可)

「国内ライブ情報」
●A9 C/W LOVERS-カップリング曲限定ライブ-
 2019/2/14(木)
 会場:TSUTAYA O-EAST
 1部:OPEN14:30/START15:00 / 2部:OPEN18:30/START19:00
 チケット料金:
 FC限定【VIP席1F】¥18,000- (1F前3列、終演後6Shot撮影会参加)
 FC限定【VIP席2F】¥15,000- (2F前1列、終演後6Shot撮影会参加)
 【一般1F&2F 指定席】¥6,300- (税込/D代別)
 一般販売:2019.1.26(土) VIP販売なし
A9 presents White Day Special Event LIVE 2019
 『THE ALTERNATIVE vs DIAWOLF vs HIROTO』
 ※この公演にA9の出演はございません。
 2019/3/14(木)
 会場:渋谷WWW X
 時間:OPEN17:15/START18:00
 チケット料金:
 【全立見】¥5,800- (税込/D代別)
 【当日】¥6,300- (税込/D代別)
  一般販売:2019.1.26(土) VIP販売なし
●BEST OF A9 TOUR「ALIVERSARY」
BEST OF A9 TOUR「ALIVERSARY」CASE OF 花鳥
2019/5/4(土祝) TSUTAYA O-EAST 〜ヒロト生誕祭2019〜
2019/5/10(金) さいたま新都心VJ-3
2019/5/12(日) 柏PALOOZA
2019/5/18(土) 山形ミュージック昭和セッション
2019/5/19(日) 盛岡CLUB CHANGE WAVE
2019/5/25(土) 岐阜CLUB ROOTS
2019/5/26(日) 京都FAN J
2019/5/28(火) 高松DIME
2019/5/30(木) 山口 LIVE rise SHUNAN
2019/6/1(土) 宮崎SR BOX
2019/6/2(日) 鹿児島CAPARVO HALL
2019/6/8(土) 甲府CONVICTION
2019/6/9(日) 長野JUNK BOX
BEST OF A9 TOUR「ALIVERSARY」CASE OF 風月
2019/6/15(土) 金沢エイトホール
2019/6/16(日) 奈良NEVER LAND
2019/6/22(土) 新潟NEXS
2019/6/23(日) 郡山HIP SHOT 〜沙我生誕祭2019〜
2019/7/6(土) 福岡DRUM LOGOS 〜将生誕祭2019〜
2019/7/7(日) 長崎DRUM Be-7
2019/7/13(土) 仙台RENSA
2019/7/15(月祝) 札幌PENNY LANE24
2019/7/18(木) 滋賀B-FLAT
2019/7/20(土) 松山サロンキティ
2019/7/21(日) 岡山CRAZYMAMA KINGDOM
2019/7/26(金) 名古屋ボトムライン
2019/7/28(日) 大阪BIG CAT 〜Nao生誕祭2019〜
BEST OF A9 TOUR「ALIVERSARY」FINAL
A9 15TH ANNIVERSARY
2019/8/10(土)日比谷野外大音楽堂

▼リリース情報
A9 15TH ANNIVERSARY BEST ALBUM
[花鳥ノ調] / [風月ノ詩]
発売日2019年4月24日(水)
<A9 15TH ANNIVERSARY BEST ALBUM [花鳥ノ調]>
M1.タイムマシン
M2.華一匁
M3.グラデーション
M4.H.A.N.A.B.I.
M5.銀の月 黒い星※シングルF+IX=YOU収録
M6.無限の花
M7.平成十七年七月七日
M8.光環
M9.ヴェルベット
M10.FANTASY
<A9 15TH ANNIVERSARY BEST ALBUM [風月ノ詩]>
M1.NUMBER SIX.
M2.-Dice-
M3.虹彩
M4.RAINBOWS
M5.CROSS GAME
M6.the beautiful name
M7.Waterfall
M8.Le Grand Bleu
M9.GEMINI-0-eternal
M10.GEMINI-I-the void
M11.GEMINI-II-the luv

A9 オフィシャルサイト
http://a9-project.com
A9 オフィシャルTwitter
https://twitter.com/a9_official