「聴けば、きっと囚われる。旋律に愛されたバンド」SHE’S。彼らは現在、New Album『Now＆Then』を引っ提げ、全国ツアー「SHE’S Tour 2019 “Now & Then”」に突入している。
今回もSHE’Sのまだ知られざる一面を探るべく、メンバーへの単独インタビューを実施。井上、服部に続く第三回目は、「違いが分かる男」広瀬臣吾の登場だ。彼の生い立ちから音楽遍歴、SHE’Sのあの頃と今、そして未来を語ってもらった。
おさがりのMDプレイヤーが開いた音楽への扉
――広瀬さんって洋楽のイメージが強いと思うんですけど、最初に好きになったのも海外のアーティストなんですか。
広瀬：スタートはMr.Childrenかな。小学校1、2年生のときに、中学生の従妹からMDウォークマンとMDのお下がりをもらって。そのなかにあった「シーソーゲーム」に惹かれたのが最初ですね。曲もメロディーも好きなんですけど、イントロに入ってるギターが最高。
――王道ですね。
広瀬：次がB’zの「LOVE PHANTOM」かな。その後は、兄貴の影響でHYや175R、ロードオブメジャー、MONGOL800とか聴いてました。ベースのスタートを切ったのもMONGOL800でしたし。
――MONGOL800は、どのようなところに惹かれたんでしょう。
広瀬：曲ももちろん素晴らしいんですけど、歌詞がいいんですよね。特有の「ゆるさ」があって。あのテンションがすごく好きだったんです。
――好きなアーティストに山下達郎さんもあげられてますよね。山下さんの音楽とは、どのように出会ったんですか。
広瀬：山下達郎さんは高校生のときかな。地元のベテラン・スタジオミュージシャンがよく来るライブハウスに、山下さんのバッグでベースを弾いてる伊藤広規さんがいらっしゃったんですけど、プレイが半端なくて。山下達郎さんももちろん好きですけど、伊藤広規さんが好きってところが大きいかもしれないです。
ベースが単純に渋くてかっこよかった
――洋楽には、どうやって向かっていったんですか。
広瀬：Mr.Childrenと同時期くらいに、エアロスミスの『I Don’t Want to Miss a Thing』と出会ったんです。テレビで「アルマゲドン」を放送して、その曲の良さにやられちゃって。
――どんどんハマっていったんですね。
広瀬：そうですね。あとは父親がBeatlesやビリー・ジョエル、エリッククラプトンとかを好きだったっていうのもあるかも。よく車で流れてたんですよ。80’sのオムニバスCDとかね。
――幼い頃から、洋楽の良さに気づいてらっしゃったんですか。
広瀬：正直なところ、そこまでいいとは思ってなかったです(笑)。何を言ってるかわからんし、聞き流す程度で。
――言語が違いますからね(笑)。
広瀬：U2やガンズ・アンド・ローゼズにハマったのは、中学生になってから。テレビで見ていたグラミー賞で、U2の『How to Dismantle An Atomic Bomb』がやたらと賞をとったのが気になって、聴き始めました。
――では、ガンズ・アンド・ローゼズは。
広瀬：中学生のころ服部とボン・ジョヴィやKISSの話をしていたので、その中で知っていったんだと思います。メチャクチャなロック・スターな、あの感じ。本当にわけわからなくないですか？ 時間とか守らないし。
――(笑)。
広瀬：でも、彼らは演奏させるとかっこいい。スラッシュなんて半端なくギター上手いじゃないですか。テクニックが素晴らしいし、音も最高。楽曲があんなかっこいいならベースもすごいに決まってると思って、洋楽にのめりこんでいったような気がします。
――スラッシュの名前も出てきましたが、なぜギタリストではなくベーシストになったんですか。
広瀬：ピアノもギターもやってたんですけど、結果的にベースのほうがやりやすいなって(笑)。弦が少ないじゃないですか。あと、単純に渋くてかっこよかったんですよ。
結果よりも、楽しいという過程が大切
――広瀬さんってベースのほかに、習い事とかしてこられたんですか。
広瀬：けっこうやりましたよ。ピアノは幼稚園から小2くらいまでかな。あとは、水泳にテニスに塾。全部自分からやりたいって言って始めてました。でも、長く続ける気もなければ、コンクールや大会で入賞する気もなかったです。「とりあえずやってみたい」っていう動機。
――「始めたからには1番になりたい」みたいなのは…。
広瀬：ないかもしれないですね(笑)。やっていること自体が楽しいから、それに結果がついてきたらいいかなって。ピアノもバイエルとかやらずに、ポルノグラフィティの「サウダージ」とか弾いてましたからね(笑)。基礎の曲は非常に面白くない。「こんな曲は知らん」って。
――過程の満足度が大事であって、結果がすべてじゃない、と？
広瀬：そうですね。今は音楽を仕事にしているので、そこは結果に繋げなければいけないと思ってるんですけど。命までは取られないので（笑）、できるところで頑張ればいいかなって思ってます。
思ったことはストレートに伝える
――SHE’Sのメンバー達に、広瀬さんってどういうふうに思われていると思いますか。
広瀬：口が悪い人(笑)。思ったことをストレートに言っちゃうんですよね。
――それは何か理由があるんですか。
広瀬：今って音楽に限らず、みんなが良いと言ってたら良いと言わなければいけないみたいな風潮があるじゃないですか。同調圧力に対して「よくない」って言っちゃいけないような空気が。でも、俺はそれってよくないと思ってるんです。世間的にはスゴくても、俺にとってはスゴくないかもしれない。そういう思いは正直に出していったほうがいいんじゃないかなって。
――なるほど。
広瀬：小さいころから親に美術館や雪舟の展示などへ連れまわされたんですよ。興味のあるなしは別として、良いものは知っておいたほうがいいからって。食べ物もそう。高いものである必要はないけど、美味しいものは知っておきなさいって。だから、自分のなかに譲れない基準があるんです。それに背くものは、お世辞でも良いとは言えない。
――自分なりの基準が確立してるからこそ、ブレないんですね。
広瀬：美術への興味は全くないんですけどね(笑)。でも、質がいいと思えるものしか俺は「良い」って言えないです。
――同調圧力に負けず自分の意見を発信していく姿勢は、幼い頃からあったのですか。
広瀬：幼い頃は、どちらかというと馴染もうとするほうでしたよ。親が転勤族だったので、定期的に知らない環境に放り込まれてましたし。生まれたときは大阪にいて、幼稚園では岡山、中学から大阪に戻ってきました。
――方言とかも違いますよね。
広瀬：全然違いますね(笑)。岡山にいるときは「～じゃけえ」、大阪では「～やねん」って。その地方の言葉で話したほうが早く馴染めますし、コミュニティーを形成するために尽力していました。
――先ほど転勤でお父さんのお話が出ましたが、ご兄弟はいらっしゃるんですか。
広瀬：２つ上の兄と双子の弟がいます。
――広瀬さんて双子だったんですね。弟さんとは似てるんですか。
広瀬：似てないです。二卵性やったかな？。最近は一緒に遊びもしないですし、連絡先も、知ってるかな？ってくらいで。
――でも転勤族だったとき、兄弟の存在って大きくなかったですか。
広瀬：単純に日常生活で助けられてたことは、多かったような気がします。学校からの
大事な手紙は弟がくれるし、絵の具を忘れたときも貸してくれるし。
――そういうところですか(笑)。
広瀬：だって、絵の具を忘れたくらいじゃ死なないでしょ(笑)。借りれば済む話なので、それを別にミスだとも思わない。それがないとどうにもできない問題は、さすがにダメやなって思いますけどね。
未来が見えた、野音ステージからの景色
――広瀬さんは人生のターニングポイントになった「Then」をあげるとしたら、いつになりますか。
広瀬：閃光ライオットじゃないですか。当時はあのライブを最後にやめることも考えていたんです。
――なぜやめようと…。
広瀬：いろいろ面倒くさかったんです。バンドがしたくてSHE’Sを組んだけど、音楽以外にもやるべきことが次第に増えていって。そのほかにバイトも大学の授業もあるから、どんどん押し潰されそうになっちゃったんですよね。
――メンバーみなさんには話してたんですか。閃光ライオットが終わったらやめるって。
広瀬：話してました。メンバーから止められたし、ライブハウスの友達やスタッフからも止められました。
――そんな広瀬さんを引き留めた決定的なものは、なんだったのでしょう。
広瀬：閃光ライオットのステージからの景色を見て、自分たちの未来が見えたからですかね。「これだけ人を惹きつけることができるものなら、続けたいな」って。
ゴールを決めるのは竜馬しかいない
――ここからはメンバーの皆さんのことも訊いていきたいと思います。メンバーの皆さんにキャッチーフレーズをつけるとしたら、それぞれ何でしょうか。
広瀬：竜馬は、「忘れ物＆ファンタジスタ」。忘れ物ぐせが酷いのは間違いないんですけど、それが全く気にならないカリスマですね。俺たちがどれだけすごいプレイをして奇跡を起こしても、アイツが放つ「言葉」の奇跡にはかなわない。ゴールを決めるのは、竜馬しかいないんですよ。
――では、服部さんは。
広瀬：「几帳面オタク」。ホテルで部屋が一緒になったときコートをよく脱ぎ捨ててたんですけど、気が付いたらハンガーに掛かってる。それくらい几帳面なやつですね。ギタリストとしても、それはすごい出てると思います。
――オタクといいますと。
広瀬：俺と一緒で好きなことに対しては、とことんいかないと気が済まないタイプなんですよ。そういうところです。
――木村さんはいかがでしょう。
広瀬：「真面目なドラマー」(笑)。言われたことをちゃんとやるし、寝坊もしない。「真面目やな」っていつも思います。俺がけっこうラクに考えちゃうから、自分とは違う考え方を持ってて面白い。
――では、ご自身につけるとしたらいかがですか。
広瀬：えー…っと（しばらく考える）。「クールぶってる人」(笑)。自分ではクールだとは思わないんですけど、周りからそう言われることが多いので。もしかしたらクールぶってるのかなって(笑)。
――（笑）。広瀬さんの「SHE’Sとしての目標」ってなんでしょう。
広瀬：普遍的な存在になることですね。メンバー全員、時代に左右されないような王道なものが好きなんですよ。だから自分たちも、そういう音楽を作っていきたいです。根本にある井上竜馬の歌詞と歌を大事にしつつ、新しい遊びをたくさんいれていきたいですね。もちろん武道館とかでのライブもやってみたいですけど、それよりも、着実に良い音楽を奏で続けていけたらいいなって思ってます。
――その夢を達成したあと、広瀬さんの個人的な夢ってありますか。
広瀬：釣りが好きなので琵琶湖のほとりに別荘とか建てて、船を置きたいです。湖がやっぱりいいですね。海は広大すぎて、なんか大変そうだから(笑)。
撮影： 田中伸二 (Luz-p.o.)
取材・文: 坂井彩花
＞＞＞次回予告
SHE’S パーソナルインタビュー VOL.4 【木村雅人】(Dr) 登場 ♪♪
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〈Release Info〉
3rd Album 『Now & Then』 NOW ON SALE.
【初回限定盤】(CD+DVD) TYCT-69138 3,500円（+税）
【通常盤】(CD) TYCT-60134 2,800円（+税）
〈CD収録曲〉
1. The Everglow ※MBS/TBSドラマイズム「ルームロンダリング」オープニングテーマ
2. Dance With Me
3. Used To Be
4. Clock
5. 歓びの陽 ※「モンストグランプリ 2018 チャンピオンシップ」大会イメージソング
6. Set a Fire
7. ミッドナイトワゴン
8. Upside Down ※TVアニメ「アンゴルモア元寇合戦記」エンディングテーマ
9. 月は美しく(Album ver.)
10. Sweet Sweet Magic
11. Stand By Me
〈DVD収録内容〉
『SHE’S Autumn Tour 2018 “The One”』Tour Documentary
・Live at Shibuya Club Quattro 2018.11.29
（歓びの陽/Monologue/月は美しく/The Everglow/C.K.C.S./Over You/遠くまで/Curtain Call）
・”The One” Tour Documentary with Extra Shots
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★SHE’S Tour 2019 “Now & Then”
SHE’S史上最大キャパとなるZepp Tokyoを含む全国ツアー開催中！
■2019年2月16日(土)福島/ 郡山 HIPSHOT JAPAN
open 17:30 / start 18:00
料金：前売 ¥3,500(税込) ※ドリンク代別
■2019年2月23日(土) 京都/ KYOTO MUSE 【THANK YOU SOLD OUT】
open 17:30 / start 18:00
料金：前売 ¥3,500(税込) ※ドリンク代別 問い合わせ：SOUND CREATOR 06‐6357‐4400
■2019年2月24日(日)香川/ 高松 DIME 【THANK YOU SOLD OUT】
open 17:30 / start 18:00
料金：前売 ¥3,500(税込) ※ドリンク代別 問い合わせ：DUKE 087-822-2520
■2019年3月1日(金)静岡/ 浜松 Live House 窓枠 【THANK YOU SOLD OUT】
open 18:30 / start 19:00
料金：前売 ¥3,500(税込) ※ドリンク代別 問い合わせ：SUNDAY FOLK PROMOTION 054-284-9999
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■2019年3月15日(金)北海道/ 札幌 PENNY LANE24
open 18:15 / start 19:00
料金：前売 ¥3,500(税込) ※ドリンク代別 問い合わせ：WESS 011-614-9999
■2019年3月17日(日)宮城/ 仙台 Rensa
open 17:15 / start 18:00
料金：前売 ¥3,500(税込) ※ドリンク代別 問い合わせ：NorthRoadMusic 022-256-1000
■2019年3月20日(水)岡山/ YEBISU YA PRO
open 18:30 / start 19:00
料金：前売 ¥3,500(税込) ※ドリンク代別 問い合わせ：夢番地 082-249-3571
■2019年3月21日(木・祝) 福岡/ DRUM Logos
open 17:15 / start 18:00
料金：前売 ¥3,500(税込) ※ドリンク代別 問い合わせ：キョードー西日本 0570-09-2424
■2019年3月23日(土)広島/ HIROSHIMA CLUB QUATTRO
open 17:15 / start 18:00
料金：前売 ¥3,500(税込) ※ドリンク代別 問い合わせ：夢番地 082-249-3571
■2019年3月24日(日)愛知/ 名古屋 DIAMOND HALL
open 17:15 / start 18:00
料金：前売 ¥3,500(税込) ※ドリンク代別 問い合わせ：SUNDAY FOLK PROMOTION 052-320-9100
■2019年4月6日(土)長野/ 松本 ALECX 【THANK YOU SOLD OUT】
open 17:30 / start 18:00
料金：前売 ¥3,500(税込) ※ドリンク代別 問い合わせ：キョードー北陸 025-245-5100
■2019年4月7日(日)石川/ 金沢 EIGHT HALL
open 17:30 / start 18:00
料金：前売 ¥3,500(税込) ※ドリンク代別 問い合わせ：キョードー北陸 025-245-5100
■2019年4月13日(土)大阪/ なんばHatch
open 17:00 / start 18:00
料金：前売 ＜1Fスタンディング＞¥3,500(税込) ※ドリンク代別
＜2F指定席＞¥4,000(税込) ※ドリンク代別
問い合わせ：SOUND CREATOR 06‐6357‐4400
■2019年4月20日(土)東京/ Zepp Tokyo
open 17:00 / start 18:00
料金：前売 ＜1Fスタンディング＞¥3,500(税込) ※ドリンク代別
＜2F指定席＞¥4,000(税込) ※ドリンク代別
問い合わせ：HOT STUFF PROMOTION 03-5720-9999
ツアー特設サイト：http://she-s.info/shes-tour2019/
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