4月20日(土)、ニューアルバム『Now & Then』を引っ提げての全国14都市ツアーのファイナル公演が、東京・台場「Zepp Tokyo」にて行われた。
チケットはソールドアウト、1階フロアもとより2階席までぎっしりと埋め尽くしたファンの熱気にまず圧倒された。開演を待つファンの嬉しそうな様子を見ているだけで、今回のツアーがいかに充実し、楽しいものであったのかが伝わってくる。
ツアーファイナルでもあり、SHE’Sにとって初のZepp Tokyoでのワンマンライブは、結論からいうと大成功だったと言えるだろう。
開場・開演前、ライブ本番、終演後のフロアそして会場周辺、すべてがファンの笑顔で溢れていた。
「Zeppよろしく!」
井上竜馬(Key&Vo)の第一声とともに、ニューアルバム『Now & Then』1曲目に収められた『The Everglow』でこの日のライブは幕を開けた。
今回のアルバム、そしてツアーの共通のテーマの一つとも言えそうな「あの頃と、今」を、ピアノ含む軽快なバンド演奏に乗せて歌う。「流星群が空に降っている」ような眩い光の乱反射が会場中を照らし、今日のライブへの期待をいっそう高めてくれる。
ライブ冒頭から怒涛のように3曲演奏すると、井上が再び
「Zepp Tokyo元気ですか。 いいねぇ。改めましてSHE’Sです、よろしく!1年前より1ヶ月前より1週間前より1日前より、常に進化と変化を求めて歩いてます。ツアーファイナルいきます。『Change』―。」
13都市を周ってきた自信と安定感が、メンバー4人全員から見て感じとれる。
『Change』を演奏し終えたところで、服部栞汰(Gt)がマイクをとった。
「改めて大阪SHE’Sです!Zepp Tokyo元気ですか!」
「今日は『Now & Then』のツアーファイナルZepp Tokyo初ワンマン。ソールドしました!」フロアから大きな歓声があがった。
服部「SHE’Sのライブに初めて来た人もそうでない人も、みなさんで一つになって
最高の一日をみなさんと作れたらなと思います。よろしくお願いします!」
コンパクトにそう締めくくると、『歓びの陽』へ。
「ピアノロックバンド」と呼ばれるSHE’Sだが、服部が以前インタビューで語っていた「ピアノと融合できるギターとして負ける気はない」。その言葉の意味を体現してくれていた。わりとハードなギターを弾いているが、けして鍵盤の音色やメロディとぶつかっていない。むしろピアノや歌を際立たせる絶妙のコントラストを加えている印象だ。それはベースの広瀬(臣吾)やドラムの木村(雅人)にも言える。井上は鍵盤をしっとりと奏でることもあれば、パーカッシブに奏でることも多い。だが4人はおのおの自身のパートで遠慮したプレイはしていない。あうんの呼吸で「出るとこ」、「引くとこ」を自在に楽しんでいる感じだ。SHE’Sのサウンドは、そのバランス感がなんとも心地よい。
ライブも中盤に差し掛かった頃だろうか。『Flare』の演奏が終わり、再びMC。
井上「今回のツアー、今日も入れて全国14箇所周ってきました。各地方言があるけど、福岡が優勝やな。「~ちゃん」が、なんかいいなって」
広瀬「それ福岡の人、うれしいんかな?」
井上「なんや、ケンカか?」
キャラタイプの全く違う兄弟のようなメンバー間の会話が、会場の笑いを誘う。
ひとしきりメンバー間でワチャワチャと喋ったあと、井上がファンに語りかける。
「でもこうやって僕らは毎年3月・4月にツアーしてるんですけど。この時期って自分の中でもいろいろと思うこと、思い出すことも多い時期やなぁーって個人的に思うんです。4月になって、新生活とか始まって。今までとそんなに変わらん生活をスタートした人もいるかもしれへんけど。なかには、高校生になりました、とか。大学生になりました。
社会人になりました。社会人をちょっとやめてみました。仕事辞めてみました。新しい仕事を始めてみました、とか。なんか、何でもいいんだけど、そういう新しい生活が始まりやすい時期だよね、4月って。そういうなかで、ちょっと自分のペースが分からなくなってしまったり、焦ってしまったり。それによって、ホンマは言いたくないこと言ってしまったり。ホンマは言いたいことが言えなかったり。大切な人を傷つけてしまったり。自分のペースじゃなくなったら、そういうことが生まれてくると思うけど。俺も一緒で。何年経っても、この、自分にとって大事な音楽だったり、モノ・人・場所、そういうもの。自分の胸やったりポケットに入れて、『やばい』ってなったら思い出して欲しいなと。それがSHE’Sのこの曲であれば嬉しいなぁって、想いながら書いた曲を一曲、聴いて下さい。」
そのまま『Tonight』へ。
終盤、『月は美しく(Album ver.)』演奏後、木村がマイクをとる。
木村「ありがとうございます。上京してから、もう2年ですか? やっと最近、東京に馴染めてきたなって思います。自分が」
井上「どこにおったんまだ?どこにおいてきぼりやったん。吹田?」
バンドきっての愛され(いじられ)キャラ、木村。この日も愛ゆえのツッコミが入る。
木村「なかなかこう東京出てきて、最初はやっぱり都会、首都? 怖くないですか?」
井上「首都!『首都が怖い』という発想が怖い」
木村「大阪から出てきてしばらくはちょっと抵抗もあったんですけど。でも2年暮らしてみると東京って、めちゃくちゃ楽しいですね(笑)。だってさ、」
井上「あれっ」
木村「『大阪駅クラス』のさ、」
井上「おや?」
木村「駅がさ、めちゃくちゃあるんですよ? めちゃくちゃ遊び行けるやんな(照笑)」
井上「さてはこいつ、魂売ったな!?」
木村「やっ、ちゃうちゃう!そういう話はしてない(笑) どっちがいいとかそういう話やなくて。東京『も』めっちゃいい(笑)」
井上「まぁ確かにね。大阪でいう梅田・心斎橋というビッグシティが、常にあるからな。山手線の下のほう周ってたら。『また梅田や!』みたいな感じだったもんな、最初のころ。すげーなと思ったね」
木村「けっこうお気に入りの場所とかあります?」
井上「あぁ。あっても言わないですよ」
木村「えぇぇ?!」
井上「キムには教えないです。…お気に入りの場所? 木村君、どこかあるんですか?」
木村「個人的に吉祥寺が大好きです。住みやすさ100点かなと。」
井上「めっちゃイキってるやん!関西から出てきたくせに点数つけてんの(笑)」
木村「いや(笑)。でもいつか住んでみたいなと。そんなお気に入りの場所ないですか?」
井上「んー。栞汰、どっかあります?」
服部「ん~。お茶の水かな、やっぱり。あそこまで楽器屋さんが多いの、大阪にはないんで。」
井上「なるほどね。…ヒゲおじさんは?」
広瀬「(笑)。ヒゲおじさんは、やっぱ秋葉原が好きやな。楽器もしくは機械に溢れてるから。」
井上「あそっか。メカ(楽器)オタクやもんなキミたち。あっ、俺もか(笑)」
木村「ま、そんな大好きな東京でツアーファイナルということで。こっからまだまだ盛り上がっていきますか」
井上「二階―!うしろー!真ん中―!前―! さぁ行こうか、後半戦、スタート!」
ファンとの掛け合いも息ピッタリな『Sweet Sweet Magic』でライブが再開。
続く『Over You』が終わると、井上が「本日のスペシャルゲスト、レインボーちゃんです!」
と、『Dance With Me』のミュージック・ビデオにも登場するキャラクター(ダンサー)を呼び込むと、ステージとファンを軽快なダンスパフォーマンスで盛り上げた。
曲が終わると井上が再びマイクをにぎり、ファンに語りかけた。
「むちゃくちゃ楽しかったです、ありがとうございます。『Now & Then』作ってよかったなって、各地でやるたびにすげー思いました。」
「音楽をやり続けてる理由?ってわけじゃないけどさ。自分がなんかこう、「ん~…」て落ち込んでしまったときに、俺はいろんな言葉を思い出します。貰ってきたね。『お前の曲を待ってる人が、何人もいるんだぞ。頼むぞ』って。その言葉が俺をすげー奮い立たせるし。メジャーデビューしてもう三年かな? 誘ってくれた最初のディレクターの人が『歌詞を書く時は“何か”とかそういう曖昧な言葉を書くんじゃないよ。その“何か”を突き詰めて、
言葉にするのが作詞家やろ』って。その言葉が俺の胸にずっと残って、作詞しています。」
井上「『頑張りすぎんなよ。人生8割くらいでええねんぞ?』っていう父親と。『アカンかったら、アカンかったときや。』という母親と。『お前になんかあったときは、俺が動くから』という兄貴と。それはそれは、数え切れんくらい、いろんな人からいろんな言葉をもらってきてさ。その一つ一つが自分を作ってて、自分を支えてて、自分の行く先を照らしてくれてるような。そんな気持ちになります。あとは何といっても、SNSやったりお手紙やったり、直接会ってやったりで『応援してます』『大好きです』って言ってくれるみんなの言葉に何より支えられながら音楽を続けてるって、そう思います。『自分のために』って、もちろんそれもあるけど、大好きな音楽。それをやってる理由がどんどん増えてて、すごく嬉しいなと思います。そんな、助けられまくってる『あなた』に、俺たちの音楽が、曲が、『倒れてきてもええんやで』って支えられるような、そんな大きいバンドになりたいなと思います。そんな願いを込めて、ラスト1曲、『あなた』に感謝の歌を歌って終わります。改めて今日はありがとうございました。」
そして本編最後の曲『Stand By Me』が演奏された。
鳴りやまないファンの声に導かれて、アンコールに登場したメンバー達。
4人の口から、うれしいお知らせがあった。
今秋、全国対バンツアーが決定。さらに11月に大阪、12月に東京で「シンフォニアクロニクル #2」の開催も告知された。これはオーケストラを交えてのホール公演で、昨年に続き第2回が実現したという。
この日は、さらにうれしいサプライズも。
井上「いま新曲をバンバン書いてるんですよ。新曲をいっぱい作ってるんで、まだ曲名も決まってないけどやっていい??」
ファンの大歓声と大きな拍手が会場中に響く。
井上「緊張する~。ちょっと心を落ち着かせて…。今年はたくさん、またもう1回ね、心について考え直そうと思ってます。そんなアルバムが作れたらええなと思いつつ。その中から新曲、曲名未定で聴いて下さい。」
そう紹介して新曲を初披露。
とても「SHE’Sらしい」楽曲で、音源化の期待が高まる。
続く『Voice』では時おりファンの大合唱が満員のZepp Tokyoに響き渡る。
井上から、この日最後のMC。
「(ライブ)終わりたくねえよ~。終わりたくないけど、終わらないと次のツアー始まらんからな(笑)。終わりも悪いもんじゃないかもしれんな」
「相変わらず人と向き合うときって、バンドもそうだけど、自分の好きなものとか人とか、場所とか、そういう優しいものに触れるたびに、ちょっと悲しくなんねんな。終わってしまうこととか。 『めんどくせぇ』って自分のことながら思うけどさ。でも、終わりも悪いもんじゃないかもしれへんなって、ここ数年で、ライブをしてて思えるようになりました。このまま別れとか、サヨナラも愛せるようになったらええんやけどな。そこまでの道のりは、まだまだ遠そうです」
「『人とは』、『男とは』、『優しさとは』、『愛とは』。なんでやろな。見えなくて、不確かなもんばかり信じたくなるのは。でも、自分の頭で考えて、そん時そん時で『こういうことなのかなぁ?』って思ったりしながら。そんな自分の“今の正解”を曲にしながら、どうにか進んできて、こうやってZepp Tokyoでやれるバンドになったのは、なんか感慨深いなぁと思います」
「今までの道のりも、今も、肯定したくて作った『Now & Then』というアルバムがこうやっていろんな人に届いて、ホンマに嬉しいなぁて思いました。改めて、ここに来てくれてどうもありがとう。」
会場中から大きな歓声と拍手が沸き起こる。
「何が変わったんやろな? 何が変わってくんやろな? って、ずっと思ってる、バンドやってて。変わりたい。変えたくないこともいっぱいあるけど。変えたいことも多い。なんでやろな? いろいろ考えて、いろんな曲書いたけど。音楽が大好きで、音楽が大好きな人達がここに集まってさ。なんかすげぇ幸せモンやって。ライブするたびに思いました。今も思ってます。なによりも、聴いてくれてる『あなた』への感謝の歌で、最後、終わろうと思います。 みんな、ありがとう!SHE’Sでした!」
アンコール最後のナンバー『Curtain Call』でも、多幸感あふれる熱気と大合唱が、会場中を包み込んでいた。
Photo: MASANORI FUJIKAWA
Text: HIDEYUKI KIMURA (DE COLUM)
『SHE’S Tour 2019 “Now & Then”』
2019.4.20(Sat) @Zepp Tokyo
-セットリスト-
1.The Everglow
2.Un-science
3.Used To Be
4.Change
5.歓びの陽
6.Clock
7.Set a Fire
8.Upside Down
9.Night Owl
10.Flare
11.Tonight
12.ミッドナイトワゴン
13.Ghost
14.⽉は美しく(Album ver.)
15.Sweet Sweet Magic
16.Over You
17.Dance With Me
18.Stand By Me
EN1.新曲(※タイトル未定)
EN2.Voice
EN3.Curtain Call
■Live Information
全国対バンツアー開催決定!!
★SHE’S UNION Tour 2019
<日程・会場>
l 9月15日(日)鹿児島・SR HALL
open 17:00 / start 17:30
問い合わせ:キョードー西日本 0570-09-2424(平日・土曜11:00~17:00)
l 9月16日(月・祝)熊本・B.9 V1
open 17:00 / start 17:30
問い合わせ:キョードー西日本 0570-09-2424(平日・土曜11:00~17:00)
l 9月20日(金)福井・CHOP
open 18:30 / start 19:00
問い合わせ:キョードー北陸 025-245-5100
l 9月23日(月・祝)栃木・HEAVEN’S ROCK Utsunomiya VJ-2
open 17:00 / start 17:30
問い合わせ:HOT STUFF PROMOTION 03-5720-9999
l 9月28日(土)山口・周南RISING HALL
open 17:30 / start 18:00
問い合わせ:夢番地 082-249-3571(平日11:00~19:00)
l 9月29日(日)香川・DIME
open 17:00 / start 17:30
問い合わせ:DUKE 087-822-2520
l 10月5日(土)静岡・LIVE ROXY
open 17:00 / start 17:30
問い合わせ:SUNDAY FOLK PROMOTION 054-284-9999
l 10月13日(日)北海道・札幌Sound Lab mole
open 17:30 / start 18:00
問い合わせ:WESS 011-614-9999
l 10月14日(月・祝)北海道・旭川CASINO DRIVE
open 17:00 / start 17:30
問い合わせ:WESS 011-614-9999
l 10月19日(土)山形・ミュージック昭和Session
open 17:00 / start 17:30
問い合わせ:NorthRoadMusic 022-256-1000
l 10月20日(日)岩手・CLUBCHANGE WAVE
open 17:00 / start 17:30
問い合わせ:NorthRoadMusic 022-256-1000
<料金>
前売 \3,800(税込・ドリンク代別)
特設サイト:http://she-s.info/union2019
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SHE’Sが管弦楽団と共に贈るスペシャル公演、今年も開催決定!!
★Sinfonia “Chronicle” #2
<日程・会場>
l 11月22日(金)大阪・NHK大阪ホール
open 18:00 / start 19:00
問い合わせ:SOUND CREATOR 06-6357-4400
l 12月3日(火)東京・中野サンプラザ
open 18:00 / start 19:00
問い合わせ:HOT STUFF PROMOTION 03-5720-9999
<料金>
4,800円(税込)
特設サイト:http://she-s.info/sin-chro/
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■Release Information
★2019.4.14 Digital Release
「 Clocl feat.安藤裕子 Remix by Yaffle」
配信URL: https://umj.lnk.to/shes_clockrFl
★2019.2.6 Release
3rd Album『Now & Then』
【初回限定盤】(CD+DVD) TYCT-69138 3,500円(+税)
【通常盤】(CD) TYCT-60134 2,800円(+税)
〈CD収録曲〉
- The Everglow ※MBS/TBSドラマイズム「ルームロンダリング」オープニングテーマ
- Dance With Me
- Used To Be
- Clock
- 歓びの陽 ※「モンストグランプリ 2018 チャンピオンシップ」大会イメージソング
- Set a Fire
- ミッドナイトワゴン
- Upside Down ※TVアニメ「アンゴルモア元寇合戦記」エンディングテーマ
- 月は美しく(Album ver.)
- Sweet Sweet Magic
- Stand By Me
〈DVD収録内容〉
『SHE’S Autumn Tour 2018 “The One”』Tour Documentary
・Live at Shibuya Club Quattro 2018.11.29
(歓びの陽/Monologue/月は美しく/The Everglow/C.K.C.S./Over You/遠くまで/Curtain Call)
・”The One” Tour Documentary with Extra Shots
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【オフィシャルサイト】
【オフィシャルTwitter】
https://twitter.com/SHE_S_official_
【オフィシャルファンクラブ】
SHE’S Official Fanclub「SHE”Zoo”」
http://fc.she-s.info/