Acid Black Cherry、ツアーファイナルat 日本武道館ライブレポート! 横アリ・ライブ音源収録のLIVE CDも1月27日発売決定!

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 Acid Black Cherry(以下、ABC)の全国ツアー<2015 arena tour L-エル->のファイナル公演が12月14日(月)日本武道館にて開催された。

 今年2月発売したアルバム『L-エル-』に伴なう大規模かつ長期におよぶツアーを敢行してきたABC。12月14日はそのファイナル公演とあって、チケットは販売開始1分で即完。平日公演ながらも完全ソールドアウトした会場には1万人のファンが押し寄せ、クリスマスを先取りしたコスチュームの人も多く見かける。当ツアーは前述のアルバム『L-エル-』の楽曲と世界観を主軸に構成され、波乱の人生を歩む「エル」という女性の物語に沿って展開される。

 開演時刻。厳かな鐘の音が鳴り響くと、会場は暗転。ステージ背後の大型スクリーンには『L-エル-』の主人公である「エル」の物語が映し出される。映像が終盤に差し掛かると、「Loves」を唄いながらyasuが大歓声のなか登場した。一筋の光を全身に浴びながら、エルへと語りかけるように、やわらかな唄声を響かせる。

 2曲目「versus G」3曲目「liar or LIAR ?」が始まると一転、メンバー・客席ともヘッドバンギングの嵐に。鼓膜から入った瞬間に甘美な痺れをともなうハイトーン・ボイスで魅せるyasu。「ツアーが始まったのは3月で、まだ雪が降ってたなぁ」と切り出した最初のMCで、移ろいゆく年月の早さと、しかしとても充実した1年だったと語る。ひとしきりの挨拶を終えると「武道館元気ありますか? みんなのパワーが俺らのパワーやからな!」と煽り、本編が再開。

 この日の舞台は背後とステージ両サイドに大きな映像ビジョンと、額縁を模した巨大なモニュメントが配され、視覚演出的にも美しく圧巻だ。また同時にメンバー1人1人のプレイやパフォーマンスは見やすく、存分にライヴを楽しめるステージでもある。YUKI(G)とHIRO(G)の、ときにエッジを効かせ、ときにメロディアスな音色を奏でるギター陣。SHUSE(B)と淳士(D)の骨太で重厚、かつグルーヴ感溢れるリズム隊。ABCはヴォーカル・yasuのソロプロジェクトでありながら個性豊かで実力派な面々に囲まれ、「バンド感」を強く感じる。

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「Greed Greed Greed」で、ステージと1階客席とを繋ぐように作られた花道のギリギリ上手まで駆け上ると、1階や2階最上列にもぐっと近づき、「近いな!」とyasuが言ったとおり会場の広さや高さ、ステージと客席との距離を感じさせない。
 再び暗転する会場。雨音がさめざめと降り注ぎ、雷鳴のような音とサーチライトが客席を照らす。スクリーンには老婆になったエルが悪夢に悩む姿が映し出された。続く「Round&Round」では、碧く輝く水面のような映像をバックに「もし君のいない世界に生まれてたら 僕は今何をして生きていたのかな?」と問いかけるように唄うyasu。

 2013年の「Shangri-la」ツアーよりライブのMCでは恒例となったファンからの質問コーナーでは、ファイナルとあってこれまでの思い出を聞きたいという質問が多数ありながらも、「そんなんは無視していきたいと思います!やかましい!(笑)」とばっさり切り捨てたyasu。「ブスにも希望はありますか?」という質問には、「ブスとか言うな!可愛くなろうとする気持ちがないことがブスなんやと思います」と叱咤。ただその直後、「だから俺たちもヴィジュアル系してるんです。格好良くなりたいから!」と妙に説得力のある力強い言葉が続いた。ほかにも質問回答からの流れで、思春期のころ柔道部だったというyasuが第二次性徴期を迎えた際に抱えていた心とからだの悩みを吐露したところメンバーに激しく共鳴されたり、バンドを始めたばかりの頃にフルメイクでフライヤーを配りに行ったときの思い出など振り返り、笑いや涙を誘う場面も。

 「まだ元気あるか? 後半戦、飛ばしていくぞ!」というyasuの煽りからABCのライブアンセム・パートに突入。「ピストル」「少女の祈り」「cord name【JUSTICE】」とハードなナンバーに乗せ、ヘドバンの嵐を巻き起こすと、会場のボルテージは最高潮へ。本編ラストはアルバムのなかでも高い人気だという「エストエム」。メンバー、ファンともに剥き出しの本能をぶつけ合うかのように、本編が終了した。

鳴り響くアンコールの大歓声に応え、メンバーが再び登場。
 アンコール1曲目は、「L-エル-」。星屑が舞うような照明に照らされ、「エル」という女性に出会えた軌跡と喜びを、優しくも力強く唄うyasu。そして、アルバムの最後を飾る「& you」でアンコールを締めくくった。

 かと思いきや、絶え間ない観客の声に応えダブルアンコールへ突入。そのMCで「『Shangri-la』の全都道府県ツアーからずっと繋がっているようなツアーだった」と、この日までの時を共有したファンへの感謝と喜びを伝え、アルバム『L-エル-』に込めた想いを改めて語ったyasu。「僕の音楽人生ってこんな素敵なものじゃなかったんですけどね。この歳になるまで音楽をやれるなんて思ってもなかったんで。きっと僕が年をとっておじいさんになった時に、この『L-エル-』というアルバムとこのツアーを思い出して、色々と感じるものがあるんじゃないかと思う。そんなツアーでした」と語った。そして、「皆さんの人生の中にも辛い事や楽しい事とかいっぱいあると思うんですけど、人生のピークを決めるのは自分自身。エルちゃんのように愛されることを諦めずに、自分の夢があったら一生懸命頑張ってほしいなと思います」とエルの生涯と重ねたエールを送ると、会場は大きな拍手で包まれた。ここからはボーナストラックとでも言わんばかりに「少女の祈りⅢ」「SPELL MAGIC」と、ファンには暴れずにはいられないハードナンバーの連投で会場中を狂宴へと導いた。Wアンコールのラストはyasuの指揮に合わせて合唱した「20+∞Century Boys」。曲の冒頭から客席含む会場全体に明かりが灯され、会場全体が一つになれたライブだったことを改めて確認できた瞬間だった。

 最後、これまでの長きに亘るツアー、そしてこの日を振り返るように深々と頭を下げてお辞儀をしたyasuはじめサポートメンバー全員の姿がとても印象的だった。「エル」という女性の人生を具現化したその空間は、ファンだけでなくメンバーの心にも強い残像を残したに違いない。

メンバーがステージを去り会場が全灯する一瞬前、ステージ上のメインスクリーンにゆっくりと映し出されたのは“Merry Christmas.”の文字。一足早いクリスマス・プレゼントのような一夜は、こうして幕を下ろした。

 なお、今回のアリーナツアーのライヴCDが2016年1月27日に、並行開催されたライヴハウスツアーの映像作品が2月17日に発売されることが発表された。
ライヴの余韻に浸りながら、楽しみに待つことにしよう。

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TEXT:河内香奈子

■Acid Black Cherry@日本武道館 セットリスト
1.Opening ~Loves~
2. versus G
3.liar or LIAR?
4.Greed Greed Greed
5.黒猫~Adult Black Cat~
6.指輪物語
7.INCUBUS
8.Round&Round
9.君がいない、あの日から…
10.眠れぬ夜
11.7 Colors
12.ピストル
13.少女の祈り
14.cord name【JUSTICE】
15.エストエム
[Encore]
1.L-エル-
2. & you
[Encore 2]
1.少女の祈りⅢ
2.SPELL MAGIC
3.20+∞Century Boys

◆リリース告知
タイトル:2015 livehouse tour S-エス-
発売日:2016 年 2 月 17 日 ( 水 )
DVD / AVBD-32247 / \4,200 (本体価格)+税
Blu-ray / AVXD-32248 / \4,600 (本体価格)+税

タイトル:2015 arena tour L-エル- LIVE CD
発売日:2016年1月27日(水)
価格:¥1,800+税
品番:AVCD-32246~7 (DISC2枚組)

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