須田景凪 ONLINE LIVE 2020 “催花”オフィシャルライブレポート

10月23日、須田景凪が初のオンラインライブ「須田景凪 ONLINE LIVE 2020 “催花”」を開催した。

2月から開催される予定だった全国ツアー「須田景凪 TOUR 2020 はるどなり」は新型コロナウイルス感染拡大のため中止となり、彼にとっては9ヶ月ぶり、そして初となるオンラインライブだ。開始時刻前からチャット欄には期待に満ちたコメントが並ぶ。

イントロダクションの映像を経て、ライブは「couch」からスタート。「今日はよろしくお願いします」と告げた須田景凪を中心に、モリシー(Gt/Awesome City Club)、雲丹亀卓人(B)、堀正輝(Dr)のサポートメンバーという4人がステージに立つ。躍動感あふれるバンドサウンドに乗せ須田のハイトーンの歌声が響く。


そして続く「メーベル」では、オンラインライブならではの演出も演奏を彩った。ステージ前面に歌詞のフレーズがARで浮かび、曲の途中ではアボガド6が手掛けたミュージックビデオのアニメーション映像が重ね合わされる。二次元と三次元をレイヤーした演出だ。さらには速いテンポで疾走する歌と演奏をダイナミックなカメラワークで切り取った「パレイドリア」が続く。

「MUG」の演出も、とても印象的だった。暗転の間にステージは転換し、中央にソファが置かれ、須田がそこに座って歌い始める。机に置かれたノートパソコンやアナログシンセやランプがその周囲を囲う。けだるいビートに、隙間のあるアレンジだ。ミュージックビデオを制作した大谷たらふのアニメーションがARとして重なり合う。どこか都会的でサイケデリックなムードを醸し出すこの曲が、ライブの中で一つのポイントになっていた。

そして再びの暗転を経て、続く「Carol」で、さらに場面が転換。須田が座るソファが今度はステージではなく、フロアの一角のカーペットの上に移動しており、観葉植物やハンガーラックがその周囲に置かれ、まるで楽曲制作する須田の部屋のような空間になっている。バンドメンバーは周囲におらず、PCの画面を前に須田が一人歌う。ARで演出された天井から吊るされたランプが、蕾から花弁を開く花の姿へと変わっていく。うずくまるような姿勢で目を閉じて歌う須田の歌声が響く。とても幻想的で美しい情景だ。

歌い終えた須田は立ち上がり、再びバンドメンバーが待つステージに歩む。ドラマティックなメロディを丁寧に歌い上げた「MOIL」から「シャルル」へと、新旧の代表曲を続ける展開だ。「シャルル」の最初の一節をゆっくりと弾き語りで歌うと、一瞬の静寂の後、堀がカウントを鳴らしてダイナミックなバンドサウンドへ。4人が対面で向かい合って演奏し、それをカメラが様々な角度から捉える。「Carol」で描き出したひとりっきりの空間と対照的な、ステージ上のバンドの躍動感が伝わってくる。

終盤は、再び歌詞のタイプグラフィーのAR演出やアボガド6によるアニメーションが演奏風景に重なり合い楽曲を彩った「veil」、さらに「はるどなり」をモチーフとしたインストゥルメンタルのインタールードを経て「Alba」へ。スモークに包まれ青い照明に照らされて歌う須田にカラフルなCGが重なり合う。


「今日はありがとうございました。2月に新しいアルバムを出すんですけれど、そこから1曲、新曲をやらせてください」

須田はそう告げ、ラストに新曲「飛花」を披露した。跳ねるビートにフックの強いギターフレーズが重なり、畳み掛けるようなメロディが引っ張っていく。ハイトーンの歌声に耳が惹きつけられる。花をモチーフに消えない喪失感を綴った一曲。新たな代表曲になっていく予感がした。

演奏を終えると、配信プラットフォームのチャット欄にアンコールを求めるコメントがあふれる中、無人のソファを映し出したエンドロールと共にライブは終了。「Thank you everyone. See you next time.」というメッセージを最後に、不思議な余韻を残して配信も終了した。

この日に披露したのは全10曲。そこにあったのは、新たな境地を切り拓きつつある須田景凪の今だった。現実と虚構が重なり合うような映像演出の数々も、ステージ上と部屋を行き来する空間設計も、聴き手の心の内側にそっと寄り添う須田景凪の音楽らしい深い感動につながっていた。

ライブ終了後には、来年2月3日にメジャー1stフル・アルバム『Billow』がリリースされることも発表された。この先にどんな景色を見せてくれるか、とても楽しみになる一夜だった。

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Text:柴那典

Photos by Takeshi Yao

須田景凪 ONLINE LIVE 2020 “催花”ライブ映像より

<セットリスト>

2020.10.23(fri)

須田景凪 ONLINE LIVE 2020 “催花”

1. couch

2. メーベル

3. パレイドリア

4. MUG

5. Carol

6. MOIL

7. シャルル

8. veil

9. Alba

10. 飛花

【リリース情報】

須田景凪

Major 1st Full Album「Billow」

発売日:2021年2月3日(水)

https://sudakeina.lnk.to/Billow

■初回生産限定盤

CD+DVD+80Pアートブック

*三方背BOX・デジパック仕様

価格:¥4,800(tax out)

品番:WPZL-31758/59

■通常盤

CD Only

価格:¥3,000(tax out)

品番:WPCL-13207

■WMD盤 ※受注生産限定

CD+DVD+アートリリックパズル+カラビナキーホルダー

*豪華BOX仕様

価格:¥6,900(tax out)

品番:WPZL-31807/08

受注期間:10/23(金)21:00~11/20(金)23:59

受付URL:https://store.wmg.jp/shop/sudakeina

[CD]

1.Vanilla

2.飛花

3.刹那の渦

4.Alba

※映画「水曜日が消えた」主題歌

5.veil

※TVアニメ「炎炎ノ消防隊」エンディング主題歌

6.Carol

※2020年6~7月期 NHKみんなのうた

7.メメント

8.MUG

9.迷鳥

10.風の姿

11.MOIL

※映画「二ノ国」主題歌

12.はるどなり ※フジテレビ系ドラマ「アライブ がん専門医のカルテ」主題歌

13.welp

14.色に出ず

15.ゆるる ※映画「名も無き世界のエンドロール」主題歌

[DVD(初回生産限定盤&WMD盤)]

・Live映像集

・Music Video集

収録予定

<先着購入者特典情報>

TOWER RECORDS(オンライン含む、一部店舗除く):「飛花 -Rearranged ver.-」CD

ヴィレッジヴァンガード:「Alba -Rearranged ver.-」CD

楽天ブックス:「はるどなり -Rearranged ver.-」CD

amazon.co.jp:メガジャケ

HMV(HMV&BOOKS

Online含む/一部店舗除く): A4アートクリアファイル(HMV ver.)

アニメイト(オンライン含む):A4アートクリアファイル(アニメイト ver.)

TSUTAYA RECORDS(オンラインは予約分のみ):A4アートクリアファイル(TSUTAYA

RECORDS ver.)

サポート店:A4アートクリアファイル(サポート店 ver.)

※各絵柄は後日公開いたします。

※サポート店対象店舗は後日告知いたします。

※特典は無くなり次第終了となります。

※特典のご用意が無い店舗もございます、特典の有無は各店舗にお問い合わせ下さい。

【須田景凪|Major 1st Full Album「Billow」Special Website】

https://sp.wmg.jp/suda-keina/billow/

【公式サイト/SNS】

オフィシャルサイト:https://www.tabloid0120.com/

須田景凪/バルーン Twitter:https://twitter.com/balloon0120

須田景凪/バルーン スタッフTwitter:https://twitter.com/__tabloid

須田景凪 LINE公式アカウント

https://line.me/R/ti/p/%40sudakeina

YouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/channel/UC3Bjw_Ek1FTbhEKZsh9uo1w

【プロフィール】

2013年より“バルーン”名義でニコニコ動画にてボカロPとしての活動を開始。

代表曲「シャルル」はセルフカバーバージョンと合わせ、YouTubeでの再生数は現在までに1億回再生を記録しており、JOYSOUNDの 2017 年発売曲年間カラオケ総合ランキングは1位、年代別カラオケランキング・10代部門では3年連続1位を獲得し、現代の若者にとっての時代を象徴するヒットソングとなっている。

2017年10月、自身の声で描いた楽曲を歌う“須田景凪”として活動を開始。2019年1月、ワーナーミュージック・ジャパン内のレーベルunBORDEより1st EP「teeter」をリリース。8月には2nd EP「porte」をリリースし、オリコンウイークリーアルバムランキングでTOP5にランクインした。

作詞・作曲・編曲の全てを手掛け、ベットルームで音源制作からレコーディング、音源発表まで行う究極のベッドルームポップ・ミュージックが、多くの若者から支持を集めている。