アリス九號. NEW EP『Medley』リリース記念インタビュー /「メンバー一人一人に主義主張と美学がある」

アリス九號.がNEW EP『Medley』を11月24日(水)にリリースした。今作は、2021年に彼らが5か月連続でリリースしたメンバープロデュースソング5曲に、今回初音源化となる新曲「十六夜」を含む全6曲を収録した作品となる。メンバープロデュースソングに加え、生誕祭もよりセルフプロデュース色を色濃く出して開催するなど、メンバー個々の個性、タレント性を打ち出した活動を繰り広げてきた5人に、楽曲、生誕祭のエピソードまでたっぷり話を聞いた。

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ーーまず流れを先に確認したいんですが、こういったEPを出したいというアイデアが先にあって、セルフプロデュースソングを5か月連続でリリースしたんですか?

将:逆ですね。以前のように、CDを短いスパンでリリースしなきゃいけないような世の中では無くなってきたじゃないですか。僕たちは5月から各々の誕生日が毎月続くので、そういった中で、”ZINE”という、アートワーク・音楽・映像をまとめて楽しんでいただけるメディアを使って、「誕生日に合わせて1冊ごとにセルフプロデュース作品を出したら面白いんじゃないか」というお話からスタートしたんです。それを後からまとめてCD盤にしたのが『Medley』。そういった流れです。

ーー『Medley』というタイトルにはどんな意味が込められているんですか?

将:僕が付けたんですけど、5人バラバラで曲を作り、個々でライブの演出もして活動していった直後に、それとは真逆で、「バンドでコンセプトを固めてより深い表現をしなきゃダメだろう」という問題提起がバンド内から起きていた時期がありまして。

ーー個々に振り切った活動をしたが故に。

将:ええ。その時期にタイトルを考えていたので。2021年のアリス九號.は、一人一人のタレント性を活かして個々の表現をちぐはぐにやりきった。この作品はそのバラバラでちぐはぐなものの寄せ集めであるということを英訳して、「Medley」にしました。「Medley」ってもっとポップで可愛い言葉だと思っていたら、調べてみたらシニカルな意味だったんですよね。

ーージャケットのアートワークの意味は?

将:アイデアは、僕が好きなジェイムス・ブレイクのジャケット。それにインスパイアされて5人の顔をパズルのように切り刻んでみました。デザイナーさんの「お客さんはもう少しメンバーの顔を見たいのでは?」という意見とせめぎ合いながら、これが僕のギリギリOKのラインでした。

ーー唇のアップが5つあるところはファンに向けたサービスショットですか?

将:ではないです(微笑)。信頼するライブスタッフの方に「アリス九號.のメンバーは、一人一人と話すとみんな頭が良くて各々言いたいことがある。その上でお互いを尊重し合って成り立っているところが良い」と言われたのが印象的だったので、「メンバー一人一人に主義主張と美学がある」ということを表現するために唇が押し出されているんです。

ーーそんなメッセージがあったとは。

将:主義主張、美学はみんなバラバラでも、お互いが尊重し合っているからこそ、パズルを組み合わせた時にアリス九號.として成り立つということですね。

ーーでは収録曲についてお話を聞いていきたいと思います。1曲目はヒロトさんの「星降る夜には君を想う」。こちらはどんなテーマで作った楽曲ですか?

ヒロト:僕が原曲を作った「FANTASY」という楽曲があるんですが、これは自分の原体験が反映された楽曲なんです。それを長い年月、メンバーとファンのみなさんと共有して来た中で、「あの物語の続きを描きたい」という気持ちになったんですね。それが軸になっています。去年リリースした『黒とワンダーランド』という作品に収録されている「REPLICA」という曲で、バンド結成初期のようなやり方で久々に将さんと共作して作ったところで、自分の中で物語が動き出して。「星降る夜には君を想う」は、”さらにそこからの続き”という位置づけです。実体験ではないですけど、「自分の中に湧き上がってきた物語のテーマソング」という意味で作った曲です。MVはメンバーそれぞれの大切な場所に行って撮影してもらいました。僕は地元で撮りました。

ーー6月13日にはその地元にあるKOTORIホール(昭島市民会館 大ホール)で「5月4日のFANTASY-生誕地凱旋記念!!!アリス九號.ヒロト曲‘限定’演奏会-」も開催できました。

ヒロト:本当は「不夜城逃避行」ツアーの初日にやる予定だったんで、一年越しなんですよね。でも、そこで延期になったからこそ、今年『Medley』のような個々にフォーカスした企画が動き出した。そのタイミングで自分は地元でのライブが実現できた。ライブの内容もヒロト曲限定にシフトしてやることができたんで、「うまいことできてるな」と思いました。昔はよくヒロト宅にメンバーで集まって曲を作ったりしてたんで。そうやって生まれた曲を生まれた街で披露できたことは感慨深かったです。

ーーそんな感動的なライブ中、Naoさんのドラムセットが壊れるというアクシデントがありました。

Nao: スネアスタンドが折れたんですよね。ビックリしました。「こんなことは今まで見たことが無い」と色んな人に言われました。

ーーライブが中断してもおかしくなかったんですよね。でも、会場にまさかの替えがあったというミラクルが起こって。

Nao:そうなんです。市民会館だから元々楽器が置いてあるような場所では無いんですけど、ヒロトさんが10代の頃に出てた…何だっけ?

ヒロト:市がやってた音楽フェスティバルに出たんですけど、そこに出てた人が「もう音楽やらないから」ってその時会場に寄付していったドラムが、会場にまだあったんですよ。

Nao:それが長い年月、巡り巡って受け継がれた。普通は無いですよね、こんなこと。不思議。

ーー次は沙我さんの「Bury the Night」。作品の中でもひときわ異彩を放つ楽曲ですね。

沙我:MVありきでこの曲にしました。コロナ禍で色々制限がある中、「僕らはバンドとして何を提示したら面白いのかな」というところで、まずMVの雰囲気がなんとなく頭に浮かんできて。それに合う曲がこれだった。元々作ってた曲で、Naoさんは何年も前にこれ叩いてますから。3年ぐらい前の「THE ALTERNATIVE」で。

Nao:ええーっ! 憶えてない。ええーっ!

ーー沙我さんの中に浮かんだMVの雰囲気とは?

沙我:おうち時間が続く中、バンドもステージに立てる機会が少なくなったので、メンバーのアットホーム感が出たらなと。ステージに出てないからこそ、いつもは見せないようなパジャマ姿で、家で音を鳴らしているようなイメージでした。

ーーこれ、歌唱にも沙我さんパートがあって、歌詞も沙我さんが書かれたんですよね?

沙我:今年の活動は企画性が強くて、アリス九號.の主軸というよりは、遊び心もあって、いつもとは違う視点で5人5様の姿を見せていくというものだったんですね。いつもだったら僕は絶対に書かないんですけど、今回は書いた方が違いが出ていいのかなと思って書きました。ヒロトさんあたりも歌詞書くんだろうなってずっと思ってたんですけど、意外と書かなかった(笑)。

ーーMVも異色で面白かったです。

沙我:むしろそれがテーマだったんで、異色で大正解!

Nao:このMV撮影で沙我さんの秘密が発覚したんですよ。沙我さんはお風呂、半身浴なんだってこと。そこはファン必見ですよ。

ーー沙我さんだけなぜお風呂に?

沙我:虎監督に当日「風呂に入るから」って言われて。俺はよく脱いでるから「Naoでいいんじゃね?」って言ったんですけど。

虎:それだと急にギャグっぽくなるかなと。

Nao:残念だな。俺の赤ちゃんボディが見せられなくて。ふはははっ。

虎:いいよ。メンバーは一番見慣れてるし。

将:楽屋でね。

虎:この曲は沙我くんが歌うシーンがあるから、そこをパンチがあるものにしたくて。「なら風呂しかないだろう」と。

沙我:虎監督だから脱ぐのもやりやすかったです。そこだけじゃなく、あの空気感。最後にみんながわちゃわちゃしてるところとか。監督がメンバーじゃなかったらやり辛かったと思います。普通の監督は俺らにそもそもそういうシーンを求めないと思いますし。

ーー虎監督ならではの手腕を発揮!

虎:せっかく身内だけで撮ってるものなので、どうせやるなら面白い映像の方がいいじゃないですか。良いのが撮れたと思います。

Nao:でもね、虎監督は俺の扱いだけ雑なんですよ。他の人のディレクションは丁寧なのに、俺だけ「Naoさん、途中でそこに乱入してなんかやって」とか、「俺はオプションなの!?」って。

虎:はははっ。出たがりなんでNaoさんは。

Nao:それで「なんかやって」って言うから、たまたま持ち歩いてた私物のキーボードを持ち出したら、そのシーンが使われてました。

ーーそして6月24日、SHIBUYA PLEASURE PLEASUREで開催した<ONEMAN LIVE 2021〜沙我生誕祭〜「SAGA SEA」〜>は、LUNA SEAのカバーしかやらないという、こちらも異色の生誕祭となりましたよね。

沙我:どう考えてもおかしいですよね。普通、行かないと思うんですよ。でも、ウチのお客さんはそれでも楽しもうという姿勢で来て、ちゃんと満足して帰って行ったんで。メンバーもお客さんも成長したライブでしたね。

虎:ワンマンライブで全部他の人の曲って、今までやったこと無いですからね。人の曲だからそこには正解があるんで、自分たちの曲をやるよりも変に緊張感はありましたね。正解に近づけるのが楽しかったしムズくて。

将:僕は歴代の映像を観て、発声から歌い方まで、ノイローゼになりそうなぐらい練習してやりました。「コピーする=徹底的になりきる」。そこを研究すると、あんな殺気とプレッシャー、緊迫感がある中で当時RYUICHIさんは歌っていたのか、というのが見えてきて。いちリスナーとして聴いていただけでは分からないところが見えました。すごくいい経験でしたね。

 

ーー次が将さんの「AFTER DARK」。こちらはどんなテーマで制作した曲なんですか?

将:CDではなくZINEというメディアなので、「映像ありきで曲を考えよう」とみんなに持ちかけて。沙我くんはそこに端的に応えてくれたんですけど、言い出しっぺの僕は曲先で作っちゃったんですよね。この曲はパーソナルなところを掘り下げ、精神世界を歌にした楽曲になっています。僕は思春期に色んなことを考えすぎて朝4時ぐらいまで眠れなくて、暗い天井を見上げて色んな想像をしてたんですね。その時に見えてきた幻覚、暗闇の中で鳥が飛び立つような世界をMVで再現したいなと思って、それを曲にしてみました。

ーーそれでMVには鳥が飛び立つシーンがあるんですね。

将:そうです。曲を作り進めていたらどんどんパーソナルな方向に行ってしまって。僕が作ったデモはシンセが入って、もっとメンヘラっぽかったんですね。それを沙我くんが整理してくれて。「SAGA SEA」の流れにあるようなサウンドに仕上げてくれました。

ーー7月5日、O-EASTで開催した<ONEMAN LIVE 2021〜将生誕祭〜「THE VOCALIST」>は、一聖(BugLug)さん、SHINさんをゲストヴォーカルとして招いて、アリス九號.の曲を一緒に歌唱するという煌びやかなものになりました。

将:死ぬまでに一度やってみたかったんですよね。後輩に甘えるというのを。15周年の時にやった主催フェス(「Beautiful Beast Fest.」)は、LM.Cのお二人と有村竜太郎さんがめちゃくちゃ胸を貸してくれて甘えさせてくれて。愛を注いでくれたことがすごく力になったんですね。それで、僕も後輩に甘えてみたかったんです。でも演奏はメンバーにやってもらいたかったんですよ。「アリス九號.の演奏に後輩のヴォーカリストを呼ぶライブ」というのを一度やってみたかったんです。その夢が叶って、誕生日冥利に尽きます。すごくいい日でしたね。

沙我:あの日は会場入りしたらシャンデリアがあって。ケーキも豪華だったし。「SAGA SEA」との扱いの違いがヒドいなと思いましたね。スタッフもきっとそういうのを狙ってるんですよ。でもSHINは「コイツいい奴だな」と思いましたね。一聖もそうですけど、濁りのない心を感じました。

将:俺らはジャケット着てるのに、当日SHINだけ浦飯幽助みたいな衣装で出てきたんです。

Nao:確かに!「幽遊白書」みたいだった。

沙我:「それ衣装なの?」っていう格好で。逆に考えると、将さんを引き立てるためにそうしてるのかなと思ったら。

将:あれは何も考えてなかったらしくて。反省して次のステージでは、ゴリゴリの黒いコートを着込んでメイクもバッチリして、髪の毛もジェルで固めてすごい変わってました。

Nao:後ろから見てて、後輩がいるっていいなと思いましたね。俺、いないんで(笑)。

ーーこれから作りましょう。ということで、次はそんなNaoさんによる「エウレカ」です。

Nao:「暗い気持ちを無くしてパッと明るい気持ちになりたいな」というテーマで作りました。

ーー「エウレカ」はMVがアニメーションでした。

Nao:5作品続くんで、1作品ぐらいメンバーが出ないものもいいかなと思って、メンバーと相談しながら考えて。絵師の”のうさん”という方に協力してもらって、「未来はちゃんと明るいんだぞ」というテーマの元、一緒に制作してもらいました。

ーー全編アニメというのは初ですよね。

Nao:そうですね。最初はあそこまで動くと思ってなかったんですよ。そこはアニメーションを制作してくれる方々が頑張ってくれた結果、予定していたものよりもスケールアップしたものになったんですよね。

将:絵師さんにお願いするにあたって、テーマや世界観のパーツが早めに欲しいということだったので、プロットみたいなものを先に作ったんですよ。それをやったことで、歌詞はすごく書きやすかったです。Naoさんの「人に幸せになってもらいたい」、「みんなを明るくしたい」という混じりっ気無しのすごくポジティブなパワーが曲全体に通っていて、それをこのコロナ禍時代の中で伝えるメッセージとして歌詞をカッチリと書き上げたので、プロっぽい感じになりました。「エウレカ」というのは、Naoさんって何か思い付いたときにこうやって(広げた手のひらをグーに握ったもう一方の手の小指側で叩く)やるんですよ。

Nao:ああー。やってる!! 無意識ですけど。

将:「分かった」みたいな感じでポンってやるんですよね。それを表すフレーズがないかなと思って、アリストテレスが弟子の前で「分かった」って言うときに「エウレカ」と言ってたという逸話を聞いて付けました。

Nao:発想が面白いですよね。

ーーそして、7月31日に行われた<ONEMAN LIVE 2021〜Nao生誕祭〜「笑顔の爆弾」>。会場となった神田明神ホールに相応しい演出が組み込まれていましたね。

Nao:「アキバっぽいところ」とリクエストしたら神田明神ホールが取れて。神社なので「太鼓とかできたらいいな」と前から考えてて。色んな方の協力のもと、先生を紹介していただいて。めちゃめちゃ習いに通ったんです。実際やってみたらものの何十秒叩いただけで息切れするぐらい運動量が凄くてビックリしました。当初は和太鼓の小さいやつを叩こうと思ってたんですけど、「どうせならこっちをやりましょう」ということで。

ーーあんな大きな和太鼓に?

Nao:はい。あのスケールの大きさの太鼓を鳴らすのは本当に大変で。ドラムの方が全然小さいから楽なんですよ。「ドラムちゃんと叩けないなんて終わってる、マジやべえな」と改めて思いましたね。そこから左手もより意識して練習するようになりました。いい経験でした。あの時に使った大太鼓のバチは今でも活躍してて。ゴマするときに使ってます! うはははっ。

ヒロト:あの日はロックのフィールドじゃない和太鼓の方々も加わって一緒に演奏したのも印象的だったんですけど、オープニングでNaoさんが一人で大太鼓を叩いてるのをステージの袖から見てて「いい背中してんな」と思いましたね。なんか、色んなタイミングでNaoさんってそういう姿を見せてくれるんですよね。太鼓叩いてる背中見てたらすごい緊張感も伝わってきたし。一人だったからこそ、Naoさんの人間性が伝わったんじゃないかなと思いますね。

ーー次は虎さんの「虚空」です。こちらはどんなテーマで書いた曲ですか?

虎:「激しい系作んなきゃな」という感じです。ダウンチューニングでライブ映えして、サビはメロディックなんだけどちょっとしたシャウトもあるような曲を作らなきゃいけないなと思って作りました。

ーー映像のイメージはどういうものを描いてたんですか?
虎:元々はゾンビ系をやりたいなと思ってたんですよ。曲も激し目で戦う感じを滲ませるような楽曲がいいなと思って作ってたんですけど、予算の関係でゾンビは実現できなかったんです。そこからシフトチェンジして、映像は普通のカメラワークのパンとかズームとかだけではできないような感じで。後から編集で作り込んだような合成的な被せを加えてカッコいい映像を作るって、意外とやってないなと思って。でも、映像編集できる自分からすると、それってすごい面倒臭いことなんですよ。MVは自分でやらなくていいと聞いたんで、こりゃあやってもらうしかないと思って。「こういうものをやりたいんだけど」というのを提出したら、イメージ以上になって返ってきたんで、「よし」と思いましたね。

ーー9月17日にYokohama Bay Hallで開催した<ONEMAN LIVE 2021 〜虎生誕祭〜「虎 vs TORA vs 天野虎 vs MASASHI」>はとにかく面白かったです。

虎:俺のバースデーライブなんて語ることないですよ(笑)。みんなのは真面目感があるんで、自分のはちょっと崩してハズした感じを入れないとなと、今や毎年恒例となったネタを入れてる訳ですけど。それがウケるのかどうかが毎回プレッシャーですね。

ーー虎さんの生誕祭がメンバーの中で一番最後だからこそ、ここでオチを作らないとという気持ちになる訳ですか?

虎:それもありますし、まあ自分のキャラクターもありますよ。みんなよりもゲームの生配信とかしてるから、自分のキャラクターってファンの子にほとんど伝わってると思うんですね。だからこそネタをやっても笑ってくれるし、それを含めてカッコいいとも思ってくれる。今さら本気でカッコつけても「あれ? 虎さん今日はやらされてんのか」っていう空気になりかねないですから。「誕生日なのにコイツなんもやんねぇのかよ」っていう空気になるのが一番ヤバいんで。そういうお客さんたちの期待値を超えたい。それだけなんですよ。

ーー今年のネタは。

虎:MALICE MIZERのMana様コスですね。

ーー去年はSHAZNAのIZAMさんコスをやられてましたよね。

虎:はい。あれは9月で「すみれSeptember Love」を歌うというのが先にあったから、「歌うんだったらやっとくか」という感じで。今年は「やるならMALICE MIZERでしょう」というのがなんか空気的にあって。タイミング的に今年はハロウィンもやらなかったんで、みんなでやってもよかったんですけど。最初は「全員でやりますか」というのもあったんですが、他のメンバーさんにご迷惑かなと。

沙我:いやいや。だから、今後の虎バはそのための予算を回すべきだと思いますね。

虎:あれ1曲やっただけで、あのライブの印象が残るじゃないですか。あの1曲で帰ってもらってもよかったぐらいですから(笑)。「今年も色々あったな」と振り返る時、そこにちょっとアレが引っかかるだけでいいんで。

ーーMALICE MIZERの「ILLUMINATI」をMana様コスの虎さんが歌った後、ギブス、DIAWOLF、アリス九號.と、虎さんが在籍した歴代のバンドの曲をプレイしていったところもスペシャルな企画だったと思いますけど。

虎:そうですか。最初MALICE MIZERをやると決める前は、トーク系、漫談みたいなことをやろうと思ってたんですよ。

ーーえっ?

虎:1曲目は俺の落語。

将:エンターテイナーだなぁ(微笑)。

虎:憶えようとしてたんですけど、ハードルが高くて断念しました。でもいつかはやりたいなと思ってます。落語か、稲川淳二のような怖い話は。

将:俺が虎ファンだったらもっとイカつい虎さんを見たいと思うんで、コスプレにしても「そこまで無理しなくていいんじゃないの」と思うんですけど。でも虎さんの、お客さんの期待に応えようとする姿勢には感銘を受けますよね。僕だったらそこまで身体を張らずに楽しんでもらえる方法でやるんですけど、彼の場合はお客さんに対して真摯に向き合う。そこが凄いなと思いますね。あと、虎さんの歴代の曲はあまりにキーが高い曲が多いんで、ヒロト曲限定ライブもそうだったんですけど、虎曲限定ライブも大変だったんですよ。なので、当日虎さんにMCを全フリしたら、虎さんがMana様の格好で喋りまくる姿を見て、なんか申し訳なかったなと思いました。

虎:うはははっ。でも、MCがこんなに大変なものなんだとは知らなくて。マジで疲れた。Mana様の格好してるの忘れるぐらい大変でした。

ーーそうして、5人プロデュースの曲の最後に収録されているのが「十六夜」というバラード曲。これはライブで先に披露された曲で。

将:1月にやったEX THEATER ROPPONGI(「THE END」-ONEMAN TOUR 2020”黒会“FINAL SERIES-)で一度だけやりましたね。元々はタイアップで「こういう感じの曲を」という依頼があって作った曲なんですよね。

沙我:だから曲のイメージは最初から決まってて。「明治の和洋折衷ぐらいの頃の日本の空気感の曲」というのだったんですよ。僕は以前そういうバラードを作ったことがあったんで取り組んだんですけど、バラードを作るって、気持ち的に重いんですよ。良いものを作らないと意味が無いんで、バラードって神経使うんですよ。なので、この曲はいつものよくあるコード進行とは違うところで攻めてみようかなと思って、サビとかはありきたりのバラードにならないように「そこでそう行く?」という流れに持って行って。正攻法を敢えて崩していく作り方で進めていきました。なので、サビはキャッチーとは言えないようなコードやメロの動きをしてるんですけど、ちゃんといい曲に聴こえるように作りました。自分的にはよくできたなと思ってます。

将:歌詞は、問題を抱えた女性がいて、その女性を救いたいと願う少年の物語を描いています。ストーリー仕立てでありながら、歌詞のエンディングは沙我さんが書いた「無限の花」という曲とストーリーが続いてるようにしました。そこを聴き比べていただけたらと思います。

ーー12月からスタートする一年ぶりの全国ツアー<ONEMAN TOUR 2021「the Forbidden Medley」>。こちらはどんなものになりそうですか? 『Medley』収録曲を軸に置いた公演になるんですよね?

沙我:もちろん『Medley』の曲は全曲やるんですけど、それよりも何よりも一番大事なのは、地方に行くこと自体久々なので、みんなの生存確認をする意味合い。それと、僕らが久々に会いに行って元気な姿を見せることだと思ってます。そこで、再開できたという喜びが次にも繋がって。「もうちょっと次も待っていたいな」と思えるような気持ちになっていただけたらいいなと思ってます。

 

取材・文: 東條祥恵
Live Photo: Lestat C&M Project
Artist Photo:Susumu Miyawaki(progress-m)

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★ NEW EP 「Medley」 / Now on Sale!

【通常盤】[CD]
NINE-0042 ¥2,750(tax in)

<CD [DISC 1] 収録内容> ※FC限定豪華盤・通常盤共通

01. 星降る夜には君を想う
02. Bury the Night
03. AFTER DARK
04. エウレカ
05. 虚空
06. 十六夜

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★ LIVE情報

ALICE NINE. ONEMAN TOUR 2021「the Forbidden Medley」

■12/05(日) 高田馬場AREA [FC限定公演]
■12/09(木) 札幌PENNY LANE24
■12/12(日) 郡山HIPSHOT JAPAN
■12/17(金) 福岡DRUM Be-1
■12/19(日) 大阪STUDIO PARTITA
■12/20(月) 名古屋E.L.L.
□チケット:【全自由】¥6,980(税込/ドリンク代別途)

☆TOUR FINAL☆
■12/24(金) EX THEATER ROPPONGI
□チケット:指定席¥6,980(税込/ドリンク代別途)

 

 

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